
Googleビジネスプロフィール(GBP)の運用において、重要な施策のひとつが「クチコミ獲得」です。
実際に、
- 来店したユーザーにクチコミ依頼をする
- クチコミ投稿の導線としてQRコードを設置する
- 公式アプリやSMSで案内する
- 全店舗でクチコミ促進キャンペーンを行う
といった施策は、多くの店舗で一般的になっています。
ただ最近のGoogleのクチコミ審査の挙動を見ると、「クチコミ数を闇雲に増やせば増やすほど良い」とは言い切れない状況になってきています。特に注意したいのが、“クチコミ増加のスパイク(急増)”です。
例えば、これまで月に2〜3件しかクチコミが投稿されていなかった店舗に、急に1週間で20〜30件以上の高評価クチコミが集まると、Google側のクチコミ審査の仕組みに引っかかり、クチコミが公開されない可能性が高まります。
現在のGoogleは、「そのクチコミの増え方は自然か?」という点まで含めて審査する仕組みになっています。この記事では、Google最新のクチコミ審査の傾向と、チェーン事業者が行いがちな「全店一斉のクチコミ獲得施策」の危険性についても解説します。
Googleは「クチコミの信頼性」をかなり重視している
Googleはここ数年、Googleマップにおける「クチコミの信頼性」を非常に重視しています。
実際、Googleが公開している「Google マップのコンテンツの信頼性と安全性に関するレポート」では、不正クチコミ対策について、自動システムだけでなく、人間のオペレーターやアナリストによるグローバルチームでも対応していることが明かされています。

Googleによれば、2025年だけでも、
- 2.9億件以上のポリシー違反クチコミを削除・ブロック
- 7,900万件以上の不正なマップ編集を停止
- 1,300万件以上の偽ビジネスプロフィールを削除
したとされています。

現在のGoogleは、単純な禁止ワード検出だけではなく、
- 投稿パターン
- クチコミ増加速度(★1、★5の急増なども含む)
- クチコミの偏り
- アカウント信頼性
- 他の不審なアカウントとの関連性
などを含め、かなり高度なクチコミ審査を行っていることが分かります。
特に最近は、「New ways we’re protecting businesses on Maps」に記載されているように、Geminiを含むAI技術を活用し、“不自然な行動そのもの” を検知する方向へ進んでいます。
このように、Googleのクチコミ審査の仕組みが進化していることにより、以前はさほど問題にはならなかったクチコミ施策でも、現在は「不自然な急増」と判断され、クチコミが公開されない可能性が高まっています。
重要なのは、「クチコミを増やしたこと」自体ではなく、“増え方が不自然” と判断されることです。
さらに最近のGoogleは、単なる“虚偽のクチコミ”だけでなく、「評価の操作」とみなされるクチコミ全体への監視もかなり強めています。

これは自作自演やサクラ、インセンティブ提供によるクチコミ投稿、ゲーティングだけでなく、
- 異常な量・パターンでクチコミを集める
- その場で投稿を促す
- 特定の内容を書くよう誘導する
といった行為も、「評価の操作」として問題視されることを意味します。
例えば、
- クチコミキャンペーンによって短期間にクチコミが急増
- 「ぜひ、店内でクチコミ投稿してください」
- 「召し上がったメニュー名を入れて投稿してください」
といったクチコミ獲得や誘導は、現在かなりリスクが高い施策です。
Googleは今、単純にクチコミ本文に含まれる内容だけではなく、
- クチコミ獲得の流れ
- 投稿タイミング
- 投稿者属性
- 店舗全体の増加傾向
なども含めて見ている可能性が高いと考えられます。
つまり、クチコミ内容が自然でガイドライン違反がなくても、“集まり方” が不自然だと不正クチコミとして検知される可能性がある時代になっているということです。
なぜ「クチコミ急増」が怪しまれるのか
先ほど「Google マップのコンテンツの信頼性と安全性に関するレポート」や、虚偽のエンゲージメントに記載がある「評価の操作」をご紹介しましたが、これらの中には、★1や★5の急増、異常な量またはパターンのクチコミ投稿が問題視されることが明記されています。
つまり、こうした異常なクチコミの増え方に対して、現在Googleは、「これは、場所の評価を操作しようとする試みではないか?」と疑いを持つということです。
例えば、
ケースA:自然なクチコミ増加
- 毎月5〜8件程度
- 週ごとに分散
- 星3〜5が中心
- 文量もバラバラ
- 地域ユーザーと旅行者が中心
これはかなり自然な増え方です。
一方で、
ケースB:不自然なクチコミ急増
- 普段は月1〜2件
- 3日で20件増加
- 星5のみ
- 短文クチコミ連発
- 同時刻投稿が多い
こうしたケースは、かなり怪しまれやすくなります。
Google側から見ると、
- インセンティブ付きクチコミでは?
- 組織的なクチコミ誘導では?
- 自作自演では?
- クチコミスコアを評価しようとする操作では?
といった疑いが発生しやすいためです。
最近は特に、「高評価クチコミが削除される」というヘルプコミュニティーでの相談もかなり増えている印象です。★1〜3のクチコミは残る一方で、★5だけが非表示になるケースも、現場では珍しくありません。
特に危険なのが「全店舗一斉クチコミ施策」
多店舗展開、チェーン事業者において特に注意したいのが、全店舗一斉のクチコミ獲得施策です。
例えば、
- 全店で同日にPOP設置
- 全店で一斉LINE配信
- 全店でクチコミ依頼施策を開始
- 本部主導で統一クチコミ導線を展開
といった運用です。
運営側から見ると効率的ですが、Googleから見ると “機械的な動き” に見えやすくなります。
特に、
- 同時期
- 同じ依頼文
- 同じQR導線
- 同じクチコミ訴求
- 同じタイミングでの急増
が重なると、グループ全体で不自然なクチコミ増加と判断される可能性があります。
実際にGoogleヘルプコミュニティでも、海外・日本国内を問わず、「チェーン全体で数千件規模の高評価クチコミが削除された」という相談は存在しています。
実際によく起きる「クチコミ非表示・削除パターン」
よく見るのは次のようなケースです。
1. 高評価だけ短期間に集中
最も典型的なケースです。
特に、
- 数日で大量投稿される
- 既存クチコミ数が少ない
- ★5が極端に多い
この組み合わせは、人間の目で見ても不自然ですし、かなり危険です。
2. クチコミ文が似ている
例えば、
- 「親切でした!」
- 「丁寧でした!」
- 「おすすめです!」
のような短文テンプレが連続するケースです。
クチコミ依頼時にとりあえずクチコミを投稿してくれたらということでインセンティブを渡していたり、現場でユーザーに「例文」を渡している店舗ほど起きやすい傾向があります。
3. 店内Wi-Fi・同一端末投稿
店頭タブレットから投稿されたクチコミや、店舗Wi-Fiに接続することを案内して書かれたクチコミのようなケースです。
Googleは投稿環境も見ている可能性が高く、
- 同一IPアドレス
- 同一端末
- 同一ネットワーク
からの大量投稿は、不自然判定につながりやすいと考えられます。
4. 信頼性の低いGoogleアカウント
- 作成直後のGoogleアカウントによる投稿
- 他クチコミなし
- Googleアカウントとしての利用履歴が浅い
こうしたGoogleアカウントは普通に存在しますが、こうしたGoogleアカウントのクチコミ投稿が特定の店舗だけに集中することは通常考えられません。
店内でGoogleアカウントを持たないユーザーに向けて、Googleアカウントの作成を案内、その場でクチコミ投稿を依頼しているケースもこれに該当します。
逆に、ローカルガイドや、普段からクチコミ投稿をしているユーザーのクチコミ投稿は実体験として反映されやすい傾向があります。
では、どうクチコミを増やすべきか?
ポイントはシンプルで「自然に増えるに任せる」「クチコミ獲得を努力するにしても頑張りすぎない」ということになります。
1. 全店舗を同時に動かさない
これはかなり重要です。
例えば10店舗あるなら、
- 1週目:3店舗
- 2週目:2店舗
- 3週目:5店舗
のように施策開始の時期をずらします。
「企業方針としてGoogleを始め、様々な媒体でクチコミを集めていこう」という考え方そのものが「評価の操作」と捉えられるとは思いませんが、「全店でクチコミ獲得の号令をかけて、1店舗あたり毎月50件のクチコミ獲得をノルマとする」という考え方は「評価の操作」と考えられると思いますので、クチコミを集めるにしても、考え方、やり方が問題視されるようになっているとも言えます。
2. クチコミ増加を段階的にする
過去推移を無視した急増は危険です。
例えば、
- 月2件 → 月5件
- 月5件 → 月8件
- 月8件 → 月12件
のように、徐々に増やしていくイメージです。
「全店舗を同時に動かさない」と考え方は似ていますが、結果的にクチコミ投稿数が、ある時期からいきなり数倍になるような施策は、結果的にそうなってしまったとしても「評価の操作」として怪しまれやすくなると考えたほうが良いでしょう。
3. クチコミは自由に記述してもらう
テンプレ誘導は当然ながら避けたいですし、近頃増えている「ユーザーがアンケートに回答した内容からAIがクチコミ案を生成、ユーザーに投稿させる系の有料サービス」を活用すると、どうしてもクチコミ内容はAI生成による不自然さが発生します。
こうした不自然なクチコミを増やすのではなく、あくまでもユーザーの自由意志で好きな内容を書いてもらうべきです。
店舗目線では
- 何を利用したか
- どんな体験だったか
- 誰が対応したか
- 他店と何が違ったか
を書いてもらうほうが、クチコミとしての価値は高まりますが、クチコミ内にスタッフ名を含ませるなど、特定のコンテンツを含ませること自体が「評価の操作」となるため、何を書くか?を指示すること自体が問題視される可能性が高いので、お声がけの仕方は注意する必要があります。
なお、Google検索、GoogleマップアプリにおけるAIによる回答は、クチコミ本文をある程度参照していると考えられるため、具体的な体験を含むユーザーのクチコミは今後さらに重要になっていきます。
4. 「高評価誘導」をしない
これは言わずもがなですが、クチコミ依頼自体は問題ありませんが、
- ★5など高評価の指定
- ポジティブな内容の指定
- インセンティブ付与によるクチコミ
- ネガティブ投稿の抑制
このようなクチコミ獲得、クチコミ依頼の仕方は重大なガイドライン違反となります。
例えば、
- ★5で応援してください
- 満足した点を教えてください
- クチコミ投稿でクーポン差し上げます
- ネガティブ投稿を抑制する機能つきアンケートからの導線
などが該当します。
推奨の声がけのパターン
- 料理やスタッフ対応などに関するご感想をいただけると幸いです
- 当店での体験を詳しく書いていただけると、別のお客様にとっても参考になります
- 率直なご意見を書いていただければ、今後の改善の参考にさせていただきます
こうした自然な依頼の方法であれば、「評価の操作」にはなりませんし、自然と「美味しかった」だけではない、その店舗ならではの詳しい店舗体験が書かれたクチコミが集まりやすくなります。
すべてのお客様を感動させるサービスを提供することが近道
もちろん「詳細な感想」「率直な意見」を求める以上、ユーザーを感動させるようなサービスや接客を提供できていることはベースラインとして重要になってきます。
セミナー等で登壇させていただく時、私は常々「良いクチコミを投稿してもらいたいのであれば、クチコミ獲得を頑張るよりも、すべてのお客様を感動させることを意識したほうが良いです」とお話させていだくことがあります。
この記事を読まれている「あなた」自身に当てはめて考えてもらいたいのですが、クチコミを投稿する時、クチコミ投稿を趣味やノルマでやっている方は除いて、どのような時に自発的にクチコミを投稿したくなるでしょうか?
答えは「感情が大きく動いた時」です。
店舗を訪れ何らかのサービスを受ける、店舗体験をした際に、ポジティブであれネガティブであれ、強烈に感情が動いた時に「この体験をシェアしたい」という強い動機が生まれます。
この動機をユーザーに自然に持たせることができれば、クチコミ依頼などしなくとも、自然と自発的なユーザーの意思によって詳細な店舗体験を含むクチコミが増えていきます。
実際に非常に接客が丁寧であったり、料理が抜群に美味しい飲食店、購入したいものにマニアックなほどに詳しい店員さんがいるような小売店のクチコミを拝見すると、ユーザーによる詳細な店舗体験が書かれたクチコミが多数投稿されています。
今後は「クチコミ品質」「自然に増える仕組みの整備」を意識
「クチコミ件数を増やすこと」は今も昔も多くの店舗事業者が意識しているポイントですが、現在は、
- 自然な増加件数
- 継続的にクチコミが増えていくこと
- 多様なクチコミ内容
- 実体験が伝わる詳細なクチコミ
が重要になっています。
Googleは、記事前半でご紹介したように、「本当に利用者が自発的に書いたクチコミなのか?」 を様々な仕組みを活用して確認しています。
そのため「短期集中でクチコミを増やす」のではなく、「自然にクチコミが集まり続ける導線を作る」ことが重要になっていきます。
つまりクチコミは意識して「集めるもの」ではなく、「自然に発生する状態を設計するもの」への意識の変換が必要な時代へと変わってきています。
多店舗展開、チェーン事業者においては、全社施策でクチコミを集めるという方針になりがちですが、その方針に従ってただ闇雲にクチコミを集める施策を考えるのではなく、「いかにお客様がクチコミを投稿したくなるか?そのための環境整備をする」という方向に意識を向けていただければと思います。
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