AIモードが変えるローカル検索|AIモードにお店を表示させるには? 

Googleは8月21日公開のブログで、180以上の国と地域でAIモードが利用可能になったことを発表しました。残念ながら対象言語は現時点で英語のみとなっていますが、日本からでも言語設定を英語にしてやれば、スマートフォン、PCいずれからもAIモードによる検索を体験出来ます。

Googleのブログによると、AIモードによるエージェント的な能力によって、様々な検索体験をよりスムーズに、望むことを完了できるようにGoogle検索が進化しているということで、リアルタイムのウェブ閲覧機能、GoogleナレッジグラフとGoogleマップのデータベースの利用、そして予約・チケット・サービス事業者とのAPI連携によって、最適化された検索結果をユーザーに提供するようになっているとのこと。

本記事ではAIモードの検索結果の中でも、ローカル検索に焦点を当て、「AIモード × ローカル検索」をするとどのような検索結果が得られるのか?今後AIモードの検索結果にお店を表示させるには?といった側面を考察していきます。

本記事の要点

  • AIモードでもローカル検索は表示される
  • AIモードは通常検索よりも会話形式に強く、ニーズに合った結果を提示
  • 情報源は多岐にわたり、GBPだけでなくSNSやポータルサイトも重要
  • 表示されるには情報源となるサイトの整備、Googleビジネスプロフィールの充実が重要

AIモードでのローカル検索結果

(Google検索より引用)

AIモード、通常検索いずれでも、会話入力による検索、会話に近い検索でもローカル検索は機能します。ただし、通常検索との大きな違いとしてはGoogleがAIエージェント的と表現するように、お店探しにおける細かい条件を入力した際に、AIがその点を加味して検索結果を表示しつつ、細かく指示した点についての回答を行ってくれる点にあります。

上記のスクリーンショットでは、「SFのジャクソンストリート付近でハンバーガーショップをリコメンドしてくれない?8/30の18:30に利用したい。」という感覚で尋ねていますが、それに対してAIモードは「これらが8/30の18:30に利用可能な、SFのジャクソンストリート付近のバーガーショップです。」と返しており、検索結果にはGoogleマップのデータベース等から参照したであろう営業時間に関する記述があります。また、それ以外にも住所、どのような体験が得られるか?といった情報も記載されています。

(Google検索より引用)

さらに、AIモードならではの特徴としては検索結果に対して質問を重ねることが出来ます。例えば、先程のバーガーショップの検索結果に対して「駐車場はある?」と聞いてみると、この質問に関する答えを得ることが可能です。

通常検索でのローカル検索結果

(Google検索より引用)

AIモードに聞いたものと同様の検索クエリをGoogle検索に投げかけると、ローカル検索(間接検索)として捉えられ、ローカルパックが表示されますが、AIモード同様の検索地点(ジャクソンストリート付近)であっても検索結果に表示されるお店は微妙に異なっています。

なお、通常検索の場合はここで得られた検索結果について、「駐車場はある?」といった追加質問は出来ませんので、AIモードでローカル検索を行った際の利便性と比較すると、若干の物足りなさを感じます。

検索クエリによる挙動の変化

(Google検索より引用)

当然店名がリンクになっており、パネル表示されていたほうがクリックはされやすいでしょうし、マップにPINが表示されていたほうが良いわけですが、色々と検証はしているものの、この法則が現時点ではわかっていません。

かつ、厄介なことに店名がリンクとなるか否かは検索クエリによって変化していきます。

(Google検索より引用)

例えば「Are there any best ramen shops near downtown San Francisco?」と聞いた時は、私の環境ではIppudo San Francisco、Marufuku Ramenの2店舗のみが店名がリンクとなりますが、「best ramen shops near downtown San Francisco?」と聞いた時はMensho Tokyo SF、Ippudo San Francisco、Ramen Hiroshi San Franciscoの3店舗の店名がリンクとなりました。

なお、2種類の検索クエリにおけるローカル検索結果に表示される5店舗はいずれも同じ店舗でした。検索クエリによってリンクされるか否かが変化することを考えると、Googleビジネスプロフィール側の店舗名、グルメポータルサイト、SNS、自社サイトの店舗名の不一致等が直接的な原因とは言えなさそうな気もしています。

AIモードのローカル検索結果の表示パターン

どのような検索クエリを入力するかにもよってきますが、AIモードによるローカル検索結果ではいくつかの特徴が確認できました。ただし、この検索結果は変わっていく可能性はありますし、さらに複数のパターンが存在する可能性もあることを留意してください。

Best for や What to expect が表示されるパターン

(Google検索より引用)

店名の下にどのようなポイントがオススメであるかどのような体験が得られるか?書かれているパターンです。ある程度曖昧な検索をすると、検索結果上部に書かれている文章はありきたりな文章が返されるようです。

(Google検索より引用)

なお、「SFのダウンタウンで一番の豚骨ラーメンは?」といったある程度条件を絞った検索の場合、検索結果上部に書かれている文章で明確に「伝統的でリッチな豚骨ラーメンをお探しなら、一風堂サンフランシスコ店がトップチョイスです。」特定のお店を一番にオススメしてくるという検索結果が得られました。また、この検索結果画面においてはお店を示すパネルが4つ表示されているのも特徴的です。

お店のジャンルごとに提案されるパターン

(Google検索より引用)
(Google検索より引用)

検索の仕方を「複数の候補からいくつか教えて」というものに変えた時は、ラグジュアリーでハイエンド、活気があってカジュアルなど、お店の特徴でジャンル分けされた状態で複数候補を提案してくれます。

AIモードのローカル検索結果の情報源

(Google検索より引用)
(Google検索より引用)

さて、これらのAIモードにおける検索結果の情報源ですが、検索結果の右側にどのような情報を情報源をして参照しているかが表示されています。また、ウェブ上のさまざまな情報源や、Googleのナレッジグラフ(人、場所、物事に関する情報の集まり)に基づいて検索結果が生成されていること、情報の正確性には質やばらつきがあることも記載されています。

AIモードのローカル検索結果の情報源を実例で解説

(Google検索より引用)
(Google検索より引用)
ドメイン種別(ジャンル)情報源・媒体名
グルメポータルサイトYelp, OpenTable, TripAdvisor
自社サイト(公式)KUSAKABE SF公式サイト, Shota Omakase FAQページ, Super Duper Burgers公式公式サイト
メディア・ニュースサイトSF Station, The Business Journals, FOX40 News
SNS・UGCプラットフォームLemon8, Instagram, Facebook
GoogleビジネスプロフィールGoogle(GBP情報)

情報源としては実に複数の情報がありますが、一例として整理するとこのような形になります。AIモードの説明にもあるように実に様々な情報源からユーザーが入力した検索クエリに対して検索結果を返す形になっています。

グルメポータルサイト

ローカル検索文脈ではいわゆるサイテーション文脈で重要性が語られてきたグルメポータルサイトですが、AIモードの検索結果の情報源としての重要性も持つことになりそうです。複数のグルメサイトに店舗情報が掲載されていること、その情報が充実していることが重要になるでしょう。

自社サイト、FAQページ

チェーン店においては自社サイトのAboutなどのページに、ブランドの哲学やブランドの歴史等が記載されていることがありますが、個店の場合こうした情報が弱かったりページが存在しないこともあります。ブランドの哲学や沿革、こだわりなどはしっかりと公式サイト内で語るようにしましょう。

さらに発展させるのであれば、お店の今のオススメ商品、季節メニュー、日々のこだわりなどを公式サイト内にBlogページを作成し、ブログを更新していくことも良い手法だと言えます。その他には、注文の仕方、支払い方法、良くある質問をまとめたFAQページを作成するなどもオススメです。

メディア・ニュースサイト

ローカル検索文脈では知名度要素の1つとして考えることができる要素と言えますが、自社サイト以外のメディアやニュースサイトで「このお店はこの点が素晴らしい」などと言及される、紹介されることもAIモードの情報源となり得るようです。

SNS・UGCプラットフォーム

公式SNSの運用はブランドにとっても重要度が高い施策だと思いますが、AIモードにおける情報源としてもしっかりと活用をすることが重要です。

なお、公式サイト以外の個人ポストも情報源として参照している場合もあるようですが、明らかに異なる地域のお店に関するポストも参照していたり(例 SFのお店を検索しているのに、レバノンのお店のInstagramが参照されている)、精度はまだまだの部分はありそうです。

Googleビジネスプロフィール

情報源としての列挙は一番下に来ていることが多いようですが、お店自体のGoogleビジネスプロフィールも情報源となっているようです。これはローカル検索文脈では関連性に該当する部分ですが、Googleビジネスプロフィール自体が充実していること、多くの情報が掲載されていることユーザーからの具体的な体験を含むクチコミが複数投稿されていることが重要になるでしょう。

AIモードのローカル検索結果の情報源に関する実践的アドバイス

AIモードで表示されるナレッジパネルの特徴

最後にAIモードの検索結果からクリックした時に表示されるナレッジパネルについて言及しておきます。下記にAIモードの検索結果から店名をクリックした際に表示されるナレッジパネルをフルスクロール状態で掲載していますが、特徴的なのは通常のブラウザ検索結果等では表示されないことが増えているSocial media updates(ソーシャルメディアの最新情報)が表示されていることです。

(Google検索より引用)

下記に比較として通常検索で同じお店を表示した際のナレッジパネルを示していますが、AIモードのナレッジパネルでは表示されなかったオーナー投稿が表示されており、Social media updates(ソーシャルメディアの最新情報)は逆に表示されていません。

ただし、このあたりの挙動はいかようにも変わっていくと思いますし、特段のアナウンスもなく変わっていくでしょうから、検索クエリによって、時期によって異なる形で表示されることになっても不思議ではないと思います。

(Google検索より引用)

AIモードの検索結果にお店を掲載させるには、どうしたらいい?

色々と考察を進めてきましたが、AIモードのローカル検索結果にお店を掲載させるにはどうしたら良いのでしょうか?Googleからは例によって最適解というものは提示されていませんし、今後も提示されることはないでしょう。

私達が常にできるのは「公式ドキュメントを読み込む」「検索結果画面から考察する」となりますが、記事冒頭にも記載しているように、AIモードは

リアルタイムのウェブ閲覧機能、GoogleナレッジグラフとGoogleマップのデータベースの利用、予約・チケット・サービス事業者とのAPI連携によって、最適化された検索結果をユーザーに提供する

という特徴があり、本記事内でAIモードのローカル検索結果の情報源で解説しているように様々な情報源を参考に検索結果に表示しています。

店舗事業者からすると、やるべき事が増えて行く感覚があると思いますが、Google検索が常に進化を続ける以上、お店を全方位でプロモーションする姿勢と努力が求められていると言えるでしょう。

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株式会社mov所属/観光庁DMO外部専門人材(Google Maps活用での誘客、周遊促進サポート)/Googleビジネスプロフィール ゴールドプロダクトエキスパート/観光地である伊豆出身なこともあり、観光地の消費額増大、地域活性化に貢献したいと思っています。/Googleビジネスプロフィール ヘルプコミュニティ(https://support.google.com/business/community?hl=ja)にてボランティアで回答中。

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