
Googleビジネスプロフィールを長年運用していると、どこかのタイミングでビジネスプロフィールが停止されるという事態に向き合うことがあります。私も日々Googleビジネスプロフィールのプロダクトエキスパートとしてヘルプコミュニティーで時間がある時は回答をしていますが、毎日必ず複数件投稿されている相談のカテゴリーの1つがGoogleビジネスプロフィールの停止です。
停止に至る理由を事細かに解説すると膨大な量になってしまいますし、すべての停止理由を網羅して記事にすることも出来ませんので、今回の記事では停止されたGoogleビジネスプロフィールの復活について解説しようと思います。
ビジネスプロフィールが停止されるとどうなる?

ローカル検索時に表示されない
ビジネスプロフィールが停止されるということは、該当のビジネスプロフィールがGoogleのガイドライン違反を行っていたと判断されたということです。
停止ステータスとなったビジネスプロフィールに関しては、基本的にはGoogle検索、Googleマップ上においてピンとして表示されなくなります。(※ナレッジパネルが表示されない)
こうなるとビジネス名を直接検索された時はもちろん、ビジネス名を含まず間接検索された時もビジネスプロフィールが表示されない(※ローカルパック、ローカルファインダーに候補として表示されない)ということになり、この状況は停止ステータスを解消しない限り継続します。
ローカル検索時に表示されるケースもある
停止の中にはローカル検索時に店舗のナレッジパネルが表示されるパターンの停止もあります。ナレッジパネルが表示されるパターン、表示されないパターンの明確な線引きは不明ですし、どちらになるかは停止されてみないとわかりません。停止されたとしても引き続きナレッジパネルが表示されているならば、次に解説する停止されることによる影響を受けずに済むためラッキーな状況と言えます。
停止されることによる影響
集客減、認知度の低下
ビジネスプロフィールが停止されると、PC、スマートフォンなどの検索ブラウザ、Googleマップ上で店舗が表示されなくなります。(※ナレッジパネルが表示されない)集客のすべてをGoogleに依存しているという店舗ばかりではないと思いますが、店名検索(直接検索)、もしくはキーワード検索(間接検索)を行った時に店舗のナレッジパネルが表示されないとなると、Google検索、Googleマップからの集客の減少、店舗の認知度低下などに繋がるのは想像に難くないでしょう。
停止されたことにはどのように気づくのか?
ビジネスプロフィールのステータス

店舗名を検索ブラウザで検索すると、通常は「Googleに掲載中のあなたのビジネス」と表示され、ビジネスプロフィールが表示中であることが明記されています。

一方で、停止されたビジネスの場合、「ビジネス情報はお客様に表示されません」と表示されます。またビジネスプロフィールマネージャーを利用している場合、該当のビジネスプロフィールのステータスには「停止中」と表示されるため、パッと見てわかりやすいでしょう。

Googleからのメールを確認

停止、無効となった場合はGoogle(businessprofile-noreply@google.com)から「〜様のビジネスプロフィールが停止されました」という件名のメールが届きます。メール本文には停止になった理由として「違反の種類」が記載されています。
代表的な「違反の種類」
すべてを網羅しているわけではありませんが、「違反の種類」には複数のパターンが存在します。下記に代表的なパターンを記載しています。経験則として最も表示されることが多いのは「詐欺的なコンテンツと虚偽の振る舞い」だと感じています。
- Google のポリシーに違反するコンテンツは許可されません
- 詐欺的なコンテンツと虚偽の振る舞いに関する Google のポリシーに違反しているコンテンツは許可されません。詐欺的なコンテンツとは、故意に他者を欺いているコンテンツを指します。
- このビジネス プロフィールに関連付けられた Google アカウントは、良好な状態ではありません。このアカウントに関連付けられたビジネス プロフィールは停止されています。
停止からの具体の復活プロセス
停止からの復活プロセスの簡易フロー
停止してしまったビジネスプロフィールの復活の簡易的なフローを紹介します。なお、各フローはそれぞれこの後に細かく解説していきます。
- 停止に至った理由を特定し解消する
- 再審査請求時に添付する証拠書類を集める
- 再審査請求を行う(証拠書類の添付を忘れずに)
- 再審査請求の審査状況を確認する
停止に至った理由を特定し解消する
停止からの復活プロセスとしては兎にも角にも再審査請求を行うことになるのですが、そもそも論としてビジネスプロフィールが停止された理由を解消しない限り、再審査請求を行っても復活することは基本的にありません。
例えるならば、テールライトが点灯せず車検を不合格になった車は、そのまま再度車検を受けたところで当然ながら不合格になります。車検時に指摘された不備(テールライトの不点灯)を修理して、再度車検を受けて初めて合格を貰えるわけです。
ビジネスプロフィールにおいても考え方は同じです。詐欺的なコンテンツと虚偽の振る舞いで停止になったのであれば、詐欺的なコンテンツと虚偽の振る舞いと判断された内容を解消しない限り復活はありえません。ただし、例として紹介した車検と大きく異なる点は、Googleは具体的な停止理由は教えてくれないということです。
具体的な停止理由の特定は、ある程度の経験が必要になってきますが、判断軸の1つとして重要なのがGoogleから停止時に届くメールとなります。
ポリシーに違反するコンテンツであれば、写真、動画、投稿、返信など、オーナーとして提供可能なコンテンツを疑うべきです。
詐欺的なコンテンツと虚偽の振る舞いであれば、コンテンツの見直しに加えてビジネスプロフィールで設定している基本情報(名前、住所、電話番号、ウェブサイトURL、カテゴリー等)が、ウェブ上で公開されている店舗情報(公式サイト、SNS、ブログ、グルメサイト等)と異なっていないか、店舗を一般ユーザーが直接目にした時に、ビジネスプロフィールで設定している基本情報と異なっていないかなどの確認が必要です。
関連付けられた Google アカウントが良好な状態ではないという理由であれば、ビジネスプロフィールというよりは、管理しているGoogleアカウント自体の問題の可能性が高まります。
再審査請求送信時に添付する証拠書類を集める
再審査請求は証拠書類なしでも提出が可能ですが、ヘルプにも「証拠書類を送信するよう求めるメッセージが表示されることがあります。再審査請求の論拠を強化するため、証拠書類を提出することを強くおすすめします。」と記載されているように、停止からの復活の可能性を高めるためにも、証拠書類は必ず提出することをオススメします。
なお、証拠書類としては、正式な事業登録証、営業許可証、納税証明書、事業用の公共料金の請求書などが認められていますが、基本的には国、都道府県、自治体等から発行された書類がオススメです。公共料金の請求書、その他民間企業発行の契約書、請求書、領収証等も使えることは使えますが、より固い組織から発行されている書類のほうがオススメです。
なお、 直接的な証拠にはなりませんが、店舗の外観写真、看板写真なども店舗の存在証明という意味では役に立つと思います。
証拠書類に記載されている名前と住所はビジネスプロフィールと一致していること
提出する証拠書類ですが上記で解説した書類であることに加えて、記載されている名前と住所がビジネスプロフィールの店名と住所と一致していることが重要になります。
証拠書類は再審査請求を終えてから60分以内に送信する
ビジネスプロフィールの再審査請求を完了すると下記のスクリーンショットの画面になるのですが、この画面から証拠書類を追加します。なお、具体の理由は提示されていませんが証拠書類は60分以内に送信する必要があり、60分以内に送信出来ないと再送信は出来ません。

再審査請求を行う(証拠書類の送信を忘れずに)

停止に至った理由を特定し解消した後は、再審査請求ツールから再審査請求を行います。証拠書類の準備に時間がかかること、非常に重要であることから、本記事の解説は実際のプロセスとは逆(※先に証拠書類の話をしている)にしていますが、本来的には再審査請求ツールから再審査請求を行い、60分以内に証拠書類を添付してください。
再審査請求の審査状況を確認する
再審査請求を行った後は、再び再審査請求ツールから再審査請求のステータスを確認することが可能です。再審査請求のステータスとしては下記があります。
- 送信済み(再審査請求を送信しており審査中)
- 承認済み(再審査請求を送信したものが承認された)
- 不承認(再審査請求を送信したものが承認されなかった)
- 再審査を請求できません(何らかの理由によって再審査請求を送信出来ない)
- 再審査請求可能(再審査請求の送信前)

再審査請求で不承認となった場合=追加審査に挑む
再審査請求を行って不承認となった場合、再度再審査請求ツールからの再審査請求を行うことは出来ません。この場合は拒否された再審査請求の追加審査を、専用のフォームとなる拒否された再審査請求の追加審査をリクエストから行うことが可能です。
追加審査時にも証拠書類の送信が可能ですが、再審査請求時と同様に証拠の送信は追加審査のリクエストから60分以内に行う必要があります。また、追加審査においては当初の再審査請求に含めた証拠書類に加えて、送信していない証拠書類を送信することも重要になってくる可能性があります。

復活のチャンスは2回しかない
再審査請求、追加審査について解説しましたが、重要なことは停止から復活するチャンスは実質的にこの2回しかないということです。停止時にビジネスプロフィールが表示されなくなった場合は、再審査請求を行っている間にもビジネスプロフィールはGoogle検索、Googleマップには表示されませんし、再審査請求、追加審査も不承認となった場合、停止されたビジネスプロフィールが再度表示されることはありません。さらに、再審査請求、追加審査で不承認となったビジネスについて、オーナーが同名のビジネスプロフィールを再度作成することは許可されません。
ヘルプコミュニティーに記載いただき、必要な情報をすべて開示いただいた上で、私を含めたGoogleビジネスプロフィールのプロダクトエキスパート経由でGoogleにあと1回だけ審査を依頼(エスカレーション)することは可能ではありますが、明らかなガイドライン違反が残っている状態ではこれも行えません。
加えて、2度の審査で不承認となったビジネスプロフィールの場合、停止からの復活が不承認となる理由はビジネスプロフィールの設定、公式サイト上の記載など設定上の問題である可能性は低く、Googleがガイドラインで禁じている虚偽のエンゲージメント(クチコミを業者から買っていた、ユーザーにインセンティブを渡してクチコミを集めていた)を行っていたことが原因となっている可能性があります。
もちろん、これらは我々エキスパートは知り得ない情報となりますが、Googleはこうしたビジネスプロフィール側が行っている不正操作は高い精度で把握出来ているようです。Googleマイビジネス、ビジネスプロフィールとプロダクト名が変遷する中で、ビジネスプロフィール側が行っている不正行為についてはGoogleからの制裁が弱いとされてきましたが、2024年頃から徐々にGoogleからの制裁が厳しく(いわば適正に処罰されるように)なってきました。
停止後の審査に関しては直接的な停止理由の解消に加えて、過去にビジネスプロフィールが行ってきた行為も審査対象となっている感触があります。過去に相当数の虚偽のエンゲージメントによってクチコミを集めていたようなビジネスが停止となった場合、停止判断を受けた時点では虚偽のエンゲージメントによるクチコミ集めを止めていたとしても、復活が認められない可能性があると考えたほうが良いでしょう。
再審査請求で承認される確率を高めるポイント
再審査請求、および追加審査で承認される確率を高めるために重要なことはシンプルです。それはこの記事内で解説しているように、停止に至った理由を特定し解消すること、そして再審査請求を証拠書類と共に行うことです。
ヘルプコミュニティーで回答する中で停止のご相談は日々多いのですが、停止理由を解消しないままに再審査請求を行っているケース、証拠書類なしに再審査請求を行っているケースをよく目にします。それぞれ解説している通りに、停止理由が解消されていない=復活が承認されることはありませんし、証拠書類がない状態ですと再審査請求が承認される可能性が低くなります。
停止されないためには
ガイドライン違反をしないこと
最後にビジネスプロフィールの停止を受けないためにどうすれば良いかを解説したいと思います。ビジネスプロフィールのガイドライン違反が原因である停止の場合、シンプルにガイドライン違反を行わないことが重要になります。
虚偽のエンゲージメントのような重大なガイドライン違反は行わないのは当然として、詐欺的として停止されないようにするには、実店舗の情報、公式サイトの情報、ビジネスプロフィールの情報を揃えるなど、ビジネスプロフィールで設定している情報とオンライン上でGoogleが得られる情報に差異がないようにすることが重要です。
加えて、オフラインで一般ユーザーが得られる情報とビジネスプロフィールの情報が異なっていないように、店舗で掲げている固定看板とビジネスプロフィールの店舗名に差異がないことも重要です。

このようなビジネスプロフィールの店舗情報の設定等についてはGoogle に掲載するビジネス情報のガイドラインに詳しく記載がありますので、ビジネスプロフィールの運用を行う事業者においては、このガイドラインは何度も目を通し読まれることをオススメします。
固定看板を掲げ、店名とビジネスプロフィール店名を一致させる

また、これもガイドラインに記載されていますが、意外と事業者の方が知らないこととしては、店舗型ビジネスの場合、ビジネスプロフィールの店名と一致する固定看板の設置が通年で必要です。
2024年以降はガイドライン違反に関して厳しく審査が行われている感触がありますので、2024年以前に看板がない状態、ビジネスプロフィールの登録要件を満たさずにビジネスプロフィールのオーナー確認が出来てしまったビジネスが停止される事例が増えています。
実店舗である以上は固定看板があることが通常だと思いますが、個人事業主として運営している、自宅でビジネスを行っている等の場合は、ビジネス拠点に看板が常設されていないことがヘルプコミュニティーを見ていると多いようです。現時点で停止されていないビジネスであっても、固定看板がない場合は固定看板を設置すること、その固定看板の写真を外観写真としてアップロードされることを強くオススメします。
ビジネスプロフィール停止からの復活チェックリスト
この記事をベースとしたビジネスプロフィールの停止からの復活チェックリストを最後にご用意しました。一般の事業者様にとってビジネスプロフィール停止からの復活は難易度の高い手順だと思いますので、記事と合わせてご活用ください。
ステップ | 確認項目 | 備考 |
1. 停止の通知を確認 | Googleからの停止通知メールを受け取ったか? | 件名「様のプロフィールが停止されました」 |
2. 停止理由の仮説立て | 通知メール内の違反内容を確認したか? | 「詐欺的なコンテンツ」など |
3. 情報の見直し | ビジネス名、住所、電話番号、カテゴリなどに不一致がないか確認したか? | 実店舗、公式サイトやグルメサイトなどと照合 |
4. コンテンツの確認 | 写真・投稿・クチコミ返信などにポリシー違反の可能性がないか? | 必要に応じてコンテンツを削除 |
5. 固定看板の有無 | ビジネス名が入った固定看板を掲出しているか? | ビジネスプロフィール名と一致が原則 |
6. 証拠書類の準備 | 公的書類(事業証明・許可証・公共料金請求書など)を準備したか? | 住所・名前がビジネスプロフィールと一致していること |
7. 再審査請求の送信 | 再審査請求ツールから申請を行ったか? | 証拠書類の送信を60分以内に完了すること |
8. 審査状況の確認 | 再審査請求のステータスを確認したか? | 再審査ツール上でステータス確認可 |
9. 追加審査の準備(不承認時) | 新たな証拠書類・説明を追加して準備したか? | 追加審査は1回のみ・60分以内に証拠書類を送信する |
10. 再発防止策の実施 | ガイドラインの再確認と再違反防止策を立てたか? | 看板設置・店舗とビジネスプロフィールの情報一致・虚偽のエンゲージメントを |
ビジネスプロフィールの停止に関する良くある質問
Googleビジネスプロフィールが停止されるとどうなりますか?
停止されると、Google検索やGoogleマップに店舗情報が表示されなくなります。店名検索でもナレッジパネルやローカルパックに表示されず、集客や認知度に影響します。
停止されていてもナレッジパネルが表示されることはありますか?
一部のケースでは停止中でもナレッジパネルが表示されることがありますが、明確な基準は公開されておらず、結果は個別ケースによります。
Googleからの停止通知はどこに届きますか?
「businessprofile-noreply@google.com」からメールで届きます。件名に「プロフィールが停止されました」と記載され、違反内容も含まれます。
停止の原因として多いものは何ですか?
もっとも多いのは「詐欺的なコンテンツと虚偽の振る舞い」による停止です。アカウントの状態や情報の不一致も原因になります。
停止されたらすぐに再審査請求すれば良いですか?
いいえ。再審査請求の前に、停止理由を特定し、その原因を解消することが必要です。未対応のまま請求しても承認されることは少ないです。
証拠書類はどんなものを提出すべきですか?
公的機関が発行した事業登録証、営業許可証、公共料金の請求書などがおすすめです。記載の名前と住所はビジネスプロフィールと一致している必要があります。
証拠書類はいつまでに提出する必要がありますか?
再審査請求の完了後、60分以内に証拠書類を送信する必要があります。それを過ぎると提出できなくなるため注意が必要です。
ビジネスプロフィールの再審査請求が不承認だった場合はどうすればいいですか?
「追加審査」を1回だけ行うことができます。新たな証拠や説明を加えて60分以内に送信してください。再審査請求と合わせてチャンスは2回のみです。
ビジネスプロフィールが停止から復活できるチャンスは何回ありますか?
基本的に再審査と追加審査の2回のみです。不承認となった後は再作成も認められませんので、慎重に対応する必要があります。
ビジネスプロフィールが停止されないための対策はありますか?
Googleのガイドラインに沿った情報設定が重要です。固定看板の設置、店舗情報とビジネスプロフィール情報の一致、虚偽のクチコミ収集等を行わないことが基本です。
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