Googleが2025年4月7日に「New ways AI helps keep business information trustworthy」と題して公開した記事についてGoogleがAI活用で進める、ビジネス情報保護と偽レビュー検出の仕組みの中で解説しましたが、その中のいわゆる「消費者アラート」については、もう少し詳しく解説したほうが良さそうだと思い、別途記事を書いています。

消費者アラート=Googleユーザーに不正行為を行っているお店を知らせる機能

Googleの機能名はわかりにくいことが多いですが、「消費者アラート」もかなりわかりにくいですよね。これは消費者=Google検索、Googleマップユーザーに向けたアラート(注意)ということで捉えると少し解像度が上がりますが、わかりやすく説明すると。。

「このお店(ビジネス)はクチコミで不正を行っている可能性があります。注意してください。」

というGoogleユーザーに向けたGoogleからの注意喚起となります。つまり、Googleからユーザーに向けて下記のような警告、レッテルをお店(ビジネス)に対して貼る機能だと言えます。

  • この店の利用体験はクチコミにかかれている通りではない可能性がある
  • この店で提供されている商品、料理などはクチコミ通りではない可能性がある
  • この店に表示されているクチコミスコアは正しい評価ではない可能性がある

「消費者アラート」は2025年4月時点ではアメリカ、イギリス、インドで機能リリースされていますが、Googleは2025年5月から世界に向けて順次リリースしていくとしています。

消費者アラートの種類

https://support.google.com/contributionpolicy/answer/15178562?hl=ja 

「消費者アラート」の種類はヘルプに書かれている通りですが3種類あります。

不審なクチコミがビジネスから削除されたことを通知するバナーが表示されたり、一定期間ユーザーがクチコミや評価の投稿が出来なくなったり、一定期間投稿されていたクチコミが非表示になったりすると解説されています。

ただ、この3種類が独立して1つ適用されるのか、2つ適用されるのか、3つ同時に適用されるのかは不明です。

消費者アラートが表示された例

消費者アラートを受けた場合の解除方法

「消費者アラート」を受け、ビジネスプロフィールに制限がかかった場合、ポリシー違反によるビジネス プロフィールの制限というヘルプページに対応方法が解説されています。

具体的にはビジネスプロフィールの制限に対して再審査請求を行うことが示されていますが、これは停止や無効からの再審査請求とは異なりますので注意が必要です。ビジネスプロフィールの制限に対して再審査請求を行うと、Googleは制限の解除について判断、審査の状況を伝えてくれるようです。

なお、再審査請求のフォームは2025年4月時点では日本語化されておらず、英語でフォームを提出するものと思われますが、なぜ虚偽のエンゲージメントを犯していないと言い切れるか?ビジネスプロフィールへの制限の解除が妥当であるか?などを文章で1,000文字までで説明をする必要があります。

当然ながら審査の結果、制限が解除されないことはありそうですので、ビジネスプロフィールのコミュニティーにこうした相談が増えていきそうな予感がしています。なお、一定数はGoogleの誤認による制限もあるとは思いますが、虚偽のエンゲージメントを行っていないという証明は限りなく難しいでしょう。

消費者アラート(レッテル)を貼られることの影響は大きい

お店(ビジネス)がGoogleによって「このお店(ビジネス)はクチコミで不正を行っている可能性があります。注意してください。」とレッテルを貼られた場合、その影響はかなり大きいでしょう。

不審なクチコミがビジネスから削除されたことを通知するバナーについては、日本語に翻訳すると

「この場所から、虚偽のクチコミの疑いがあるものが最近削除されました」

となりますが、これを目にしたGoogleユーザーはお店が不正を行っていた可能性を知ることになりますので、素晴らしいお店であったとしても来店をためらう可能性が出てきます。

また、一定期間ユーザーがクチコミや評価の投稿が出来なくなる挙動については、下記のメッセージが表示されるようです。(※日本語は意訳です)

この場所のクチコミ投稿は無効になっています
疑わしい高評価クチコミが急増したため、Googleはこの場所へのクチコミ投稿を一時的に無効にしています。疑わしいレビューは削除され、評価も更新されました。

このような表示が表示されたビジネスを、他にも候補がある状態で選ぼうとするユーザーは少ないでしょうし、2025年4月時点ではこの「消費者アラート」を解除するのにどの程度の時間がかかるのか、また再審査請求がどの程度の割合で認められるのかも不明です。

不正な形で高評価のクチコミを集めていたビジネスは国内外問わずに多く存在するでしょうが、不正を行っていたビジネスに対して、ようやくGoogleが制裁を課すという流れが出来ました。なお、Googleが「New ways AI helps keep business information trustworthy」の中で明らかにしているように、投稿から数ヶ月経過したクチコミに対しても再評価を行い、不正パターンを検出出来るようになっているということですので、過去に不正を行っていたが現在は改心して善良にクチコミを集めているビジネスであっても、今回の「消費者アラート」を受ける可能性はあります。

なお、クチコミの所有権はクチコミを書いたGoogleユーザーに帰属しますので、ビジネスプロフィールのオーナーが削除することは出来ませんし、ポリシー違反であるクチコミしか原則的に申請しても削除されませんので、巧妙に来店を装って書かれた高評価のクチコミであるほど削除は難しくなります。不正に心当たりがあるお店(事業者)にとっては、過去の自らの行為による制裁となりますので、いわば自業自得と言えます。

なお、過去の担当者の方針で不正にクチコミを集めていたが、現在はポリシーに則ってクチコミを集めている。そして過去の不正が現担当には共有されていないお店(事業者)からすると寝耳に水となるでしょうが、ビジネスプロフィールの制限に対して再審査請求を行う際のベストプラクティスがまだ存在しない以上、制限の解除は難航すると思います。

お店(事業者)の支援をする立場で関わる場合においても、不正行為の歴史を含めて共有いただかない限り、ビジネスプロフィールの制限に対して適切な支援が出来なくなる可能性もあるでしょう。

いずれにせよ虚偽のエンゲージメントによるクチコミ収集は、ビジネスプロフィールにおいて重大なポリシー違反ですし、国内においても特定の業態においては虚偽のエンゲージメントによるクチコミ集めが横行している状況もありますので、「消費者アラートが」2025年5月から世界で順次リリースされていくことは喜ばしいことですね。

投稿者 moto-local

株式会社mov所属/観光庁DMO外部専門人材(Google Maps活用での誘客、周遊促進サポート)/Googleビジネスプロフィール ゴールドプロダクトエキスパート/観光地である伊豆出身なこともあり、観光地の消費額増大、地域活性化に貢献したいと思っています。/Googleビジネスプロフィール ヘルプコミュニティ(https://support.google.com/business/community?hl=ja)にてボランティアで回答中。