Googleが3月12日に発表した内容によると、Googleマップに本格的にGeminiが搭載され「あらゆる場所のあらゆる内容を質問できる」ようになるとのこと。

新機能 Ask Maps
新機能は Ask Maps と呼ばれており(※例によって日本語訳がどうなるかは気になりますが)、今までは出来なかった実際の会話のような聞き方で答えが得られるようになるようです。
「携帯電話を長時間待たずに充電できる場所は?」
「夜にテニスを楽しめるように電灯がある公共テニスコートはある?」
といった会話形式で質問すると答えが得られるようになります。
これまでは膨大なクチコミを読み込んだり、複数サイトを横断して情報を収集する必要がありましたが、Googleマップでこれが完結するようになるようです。
とは言え、こうした検索の新体験についてはすでにAIモードで私たちも体験済みなわけですが、Google検索に実装されたAIモードと、今回Googleマップに搭載されるAsk Mapsの検索結果にどのような違いがあるのかは気になるところです。
なお、Ask Mapsは現時点ではアメリカとインドでAndroidおよびiOS向けに提供が開始されており、デスクトップ版のGoogleマップにも今後展開される予定とされています。
AIモードとの違いは?

「目的地とその周辺でオススメの観光スポットがあるか?」といった問いに対しては、Ask Mapsではルート案内、所要時間、知られざるトレールルートなども教えてくれるようです。
AIモードとの大きな違いとして予想されるのは、検索対象がウェブ上の情報か、Googleマップ内の情報かという違いになるのかなと考えています。
つまりAIモードはGoogleビジネスプロフィール、公式サイト、情報サイト、トリップアドバイザー、Youtube、Facebook、Instagram、X等から情報を収集するのに対し、Ask MapsはGoogleマップ上のGoogleビジネスプロフィール情報やクチコミなどが主な情報になると予想されます。
AIモードと比較すると情報の幅は狭いとも言えますが、その分ノイズが少なく、検索結果が得られるまでの挙動が高速である可能性も考えられます。
検索結果はパーソナライズドされる
Googleの発表によると検索結果はパーソナライズドされるようで、検索履歴や保存した場所なども参考にされるそうです。
「友人が仕事帰りに尋ねてくるんだけど、人数は4人で19時、快適で綺麗なお店はある?」
といった質問に対しても、検索者がビーガンであればその条件も加味され、人数も踏まえた予約導線まで提示されることがデモでは示されています。
つまりAsk Mapsの登場によって、Googleマップにおける検索体験は、従来の「検索して一覧から選ぶ」という体験ではなく、Googleマップがユーザーに最適な場所を提案してくれるレコメンド型の検索へと変化する可能性があります。
Ask Mapsの実装で検索順位は意味を持たなくなるかも
Ask MapsはGoogleマップアプリに実装される機能で、2026年3月ではデスクトップ版のGoogleマップには実装されていません。しかし、目的地への移動前や移動中など、お出かけ中にユーザーが使うのはスマートフォンのGoogle検索かGoogleマップアプリです。(※一旦Google以外は除外して考えると)
つまりお出かけ中のユーザーが通常のローカル検索で
「近くの焼肉店」
と検索するのではなく、Ask Mapsで
「駐車場が広くてキッズメニューも充実している焼肉店を近くで探して。利用時間は明日の夜19時から家族4人で。」
といった形で検索する機会が増える可能性があり、重要な点としてこの検索結果はパーソナライズドされていることです。
検索ユーザーの履歴や好み、保存した場所などをもとに最適な検索結果が提示されるため、Ask Mapsが提供する検索体験は、従来のローカル検索による検索結果(※関連性・距離・知名度から得られる結果)とは異なるものになる可能性があります。
Ask Mapsに提案してもらえるか?が重要になる

従来のローカル検索では、クエリに対してランキング形式で上から順に店舗が表示されていました。一方、Ask MapsではGeminiが「なぜこのお店がおすすめなのか」という理由を添えて検索結果を提示してきます。
そのため、上位10位以内にランキングインすることよりも、Geminiが検索ユーザーにおすすめできる理由を生成できるか、つまりその理由となる情報がGoogleマップ上に十分存在しているかが重要になります。
Ask Maps時代のGoogleビジネスプロフィール運用のポイント
Geminiが検索ユーザーにおすすめできる理由を生成するための情報源は、基本的にはユーザーのクチコミや写真といったUGCデータ、そしてビジネスプロフィールオーナーが登録している各種情報になるでしょう。
クチコミ内容を充実させる
ローカル検索ではクチコミ件数やクチコミスコアが知名度の指標として重要視されてきましたが、Ask Mapsにおいてはクチコミ内容がより重要になると考えられます。
ユーザーの検索クエリに対する答えとなるクチコミがしっかり書かれているビジネスのほうが、Geminiがおすすめ理由を生成しやすくなることは容易に想像できます。
写真を充実させる
Googleはすでに画像認識技術をGoogleマップの写真解析にも活用しており、看板名とビジネスプロフィール名の一致、料理メニュー、店内の雰囲気、屋外席の有無などをある程度判別している可能性があります。
そのため、ユーザーが質問するかもしれない店舗の特徴を写真として登録しておくことは今まで以上に重要になるでしょう。
またユーザー提供の写真も重要なデータソースになると考えらえるため、料理の特徴、店内の様子、取り扱いアイテムなどを多くのユーザーに投稿してもらうことで、
「〇〇と〇〇のブランドを置いてあるお店」
「落ち着いた雰囲気のカフェ」
といった検索に対しても、Geminiがおすすめ理由を生成しやすくなると考えられます。
属性情報を充実させる
属性情報はビジネスプロフィールの特徴をGoogleに伝える機能ですが、Ask Mapsにおいては
- ビーガンメニューあり
- AMEX利用可
といった情報が重要な役割を果たすでしょう。
ただし、属性情報がより重要になると仮定すると、現在の属性情報はまだ種類が少ない印象もありますし、店舗カテゴリーについても各国の事情に合わせてもう少し広がってほしいという思いはあります。
Ask Maps導入によってキーワード対策の概念が崩れる可能性
従来のローカル検索では
- 「焼肉 新宿」
- 「整体 池袋」
- 「ホルモン 大阪」
のように、地名とカテゴリーを組み合わせたキーワード検索で上位表示を狙う対策が主流でした。
しかしAsk Mapsでは
- デートで使える静かな焼肉屋。利用時間は今週土曜の19時。
- 子どもと行けるデザートが可愛いカフェ。ベビーカーもそのまま入れるところ。
- 夜にテニスができるコート。深夜まで使えると嬉しい。
といった意図検索に対して、Geminiがビジネスプロフィールの情報、写真、投稿、クチコミなど複数のシグナルからおすすめ理由を生成できるかが重要になります。
Ask Maps導入によって知名度の影響が薄まる可能性も
ローカル検索ではクチコミ数が多いほど、またクチコミスコアが高いほど有利とされてきました。しかしこのロジックのもとでは、事業者が大量のクチコミを集めたり、高評価レビューを過剰に求めたりする動きが生まれ、結果として虚偽のエンゲージメントを助長している側面もあります。
しかしAsk Mapsでは、ユーザーがGoogleマップに対して具体的な条件を質問し、その結果がパーソナライズされます。
そのため必ずしも有名店やクチコミ件数の多い店舗が優遇されるとは限らず、ユーザーが探している条件に合致する店舗がGeminiによっておすすめされる可能性が高くなると言えるでしょう。
Ask MapsはGoogleマップ検索の大きな転換点になるかもしれない
もしAsk Mapsが本格的に普及すれば、Googleマップ検索は
- キーワード検索
- ランキング表示
という従来の検索体験から
- 会話型検索
- AIによるレコメンド
へと大きく変化する可能性があります。
そのとき重要になるのは
- クチコミ内容
- 写真
- 属性情報
- ビジネスプロフィールの情報量
など、Googleマップ上にどれだけ多くの情報が蓄積されているかです。
今後は「検索順位を上げる」「クチコミ数を増やす」「クチコミスコアを上げる」こと以上に、Geminiがユーザーにおすすめする理由を生成できるだけの情報をGoogleマップ上に整備することが重要になるかもしれませんね。
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