
Googleのクチコミが表示されない?その仕組み、正しく理解してますか?
クチコミは、実際にお店を利用したユーザーが感じたポジティブ・ネガティブな感情、そして料理や接客、サービスを通して得られた感動や驚きを言葉にしてシェアしてくれる、とても貴重なフィードバックです。
そしてそのクチコミが蓄積していくことによって、次の見込み顧客がお店探しをする際に、来店を決める最後の一押しになることも少なくありません。ローカル検索から店舗ページにたどり着いたユーザーが、「このお店、良さそうだな。」と思うきっかけの多くは、実はオーナーの投稿よりもクチコミのリアルな声やユーザー提供の写真です。
クチコミにはこうした側面があるため、積極的にユーザーからクチコミを集めている事業者も少なくありません。中には、「週単位で獲得数に目標を設定して、チームで追いかけている」といった声も聞きます。
ただ、このように意欲的にクチコミ獲得を行っている事業者から、「せっかく投稿されたクチコミが削除されてしまった」「今週だけで〇〇件クチコミが少なくなっている」といった悩みを良く聞くことがあります。
こうしたご相談は、私を含めたGoogleビジネスプロフィールのプロダクトエキスパートが日々Googleビジネスプロフィールのヘルプコミュニティーで頻繁に受けているご相談のひとつでもあります。
事業者からすればせっかく苦労して獲得したクチコミは、1件残らず表示されてほしいものですが、
- 投稿されたすべてのクチコミが表示されるわけではない
- 一度投稿されたクチコミが、後から削除・非表示になることがある
という事実を理解していない事業者も多いと思います。ただ、実際のところ、一度公開されたクチコミであっても、後から削除・非公開となることは常に起こり得るものです。
クチコミが減少している状況の発見
積極的にクチコミを集めている事業者の場合、Googleビジネスプロフィールマネージャーや、あるいは有料のGBP管理ツールなどを使って、クチコミ獲得状況を日々チェックしていることが多いようです。
そんな中で、よくあるのが次のような気づき方です。
- 自社の管理画面では表示されているクチコミが、ユーザー側から見ると表示されていない
- 週次でクチコミ数をカウントしていたら、先週よりも全体件数が減っている
このようにして、「投稿されたはずのクチコミが見えなくなっている」「数が減っている?」といった異変に、数値や表示の変化から気づくケースが多いようです。
特に、投稿件数をKPIにして社内共有していたり、キャンペーンなどで集中的にクチコミを集めた直後だったりすると、数件の減少でも敏感に気がつく事業者が多いようです。
投稿されたクチコミは、必ずしもすべて表示されるわけではない
まず前提として、ユーザーが投稿したクチコミが全て表示されるとは限りません。これは、Google公式ヘルプ「クチコミが表示されない場合、クチコミの表示が遅れる場合について」でも明記されており、投稿内容はすべて、Googleのモデレーションシステムによって審査される仕組みになっています。また、Googleが2024年に公開した透明性レポートでは、こうしたクチコミ管理のプロセスや削除件数、理由などが詳細に解説されています。
クチコミ投稿の瞬間から「多層審査」がスタートする
Googleでは、投稿が行われた瞬間から機械学習モデルと人間のモデレーターによる多層的な審査が始まります。この審査は、主に次のような観点から行われます。
審査される主なポイント
- コンテンツの内容
→ 不快な表現、誹謗中傷、関係ない話題、違反ワードなどが含まれていないか - 投稿者のアカウント状態
→ スパムや不正投稿の履歴がないか、アカウントの健全性 - 投稿先のビジネス自体
→ 短期間にクチコミが急増していないか、炎上やバズりなどが発生していないか
これらの観点で審査が行われた結果、虚偽のクチコミやポリシー違反のクチコミの大部分(85% 以上)は、実際に誰かが目にする前にブロックまたは削除されているそうです。また、透明性レポートによると、2024年には約2.5億件のクチコミがポリシー違反として削除されており、写真や動画についても1.7億件が削除されています。

虚偽のクチコミを検出する仕組み
Google マップに投稿されるクチコミの中には、本物の体験に基づかない虚偽のクチコミも存在します。これらはビジネスにとって大きなリスクとなるだけでなく、マップ全体の信頼性を損なう原因にもなります。Googleはこの問題に対して、機械学習モデルと人間のモデレーターによる多層的な審査で対応しており、2024年の透明性レポートにもその一端が紹介されています。
Googleの機械学習モデルは、本物のクチコミと虚偽のクチコミの両方を含む膨大なデータセットでトレーニングされており、不正行為を示すパターンや異常を識別できます。
- アカウント単位での不審な動き
- 有料レビュー業者との関連性
- ★5のクチコミが急激に増加している店舗
- 利益相反やインセンティブによる偏った投稿の兆候
こうしたシグナルをGoogleの機械学習モデルは検知が可能であると同時に、コミュニティーから報告されたクチコミについては、トレーニングを受けた専門チームがポリシーに基づいて審査を行っています。
不適切なコンテンツへの対策
Googleは、虚偽のクチコミだけでなく、ユーザーやビジネスにとって有害・無関係なコンテンツに対しても、強固なポリシーを適用しています。たとえば、不適切なクチコミとして次のようなものが挙げられます。
- ハラスメントや誹謗中傷を含むクチコミ
- 政治的・社会的な対立を背景に意図的に評価を下げるクチコミ
- オーナーやお店の報道を受けて、利用したことがないユーザーが無関係なクチコミを大量投稿する
こういった関連性のないコンテンツは、Googleのシステムによって検出され、ポリシー違反として削除対象になります。Googleの学習モデルはこうした不適切なパターンを識別するようトレーニングされており、言葉の文脈や文化的なニュアンスも人の目で補完的に審査されています。
表示までに時間がかかるケースもある
投稿直後、明確な違反が検出されなかったクチコミは、数秒で公開されることもあります。しかし、内容や投稿環境などによっては、審査に数日かかり、ビジネスプロフィール上に表示されるまでタイムラグが発生する場合もあります。
こうした状況においてはいわゆる非表示の状態となり、投稿したユーザー側の画面やビジネスプロフィールの管理画面上にはクチコミが存在するが、別のユーザーが見た時や、シークレットモードでビジネスのクチコミ一覧を表示した際には該当のクチコミが表示されなくなるケースがあります。
表示されたあとも、クチコミはずっと監視されている
一度表示されたクチコミも、Googleのシステムによって継続的にモニタリングされています。特に次のような行動が検出された場合は、あとからクチコミが削除される可能性が高くなり、場合によっては投稿したアカウントが停止されることもあります。
- 有料レビューサービスによる投稿が疑われる場合
- 同じ文面のクチコミがビジネスに繰り返されている場合
クチコミ獲得施策が「不正」と誤認されることもある
Googleの審査システムは、クチコミに含まれるコンテンツだけでなく、クチコミに共通するパターンや投稿された環境も審査しています。そのため、事業者側に悪意がなくとも以下のようなケースで集めたクチコミは削除・非表示となるリスクがあります。
同一Wi-Fi(IP)から短時間に複数投稿
店舗Wi-Fi経由の投稿が集中すると、不正操作と誤認されることがある。
似た文面の投稿が多い
テンプレート使用や誘導により、不正な投稿とみなされやすくなる。最近増えているAIにクチコミを書かせる系のクチコミ獲得サービスも危ういでしょう。これについての問題提起は下記の記事で行っています。
いきなりクチコミが急増した
クチコミ獲得施策の開始で一気に投稿件数が増えると、不自然な急増と認識される。
投稿完了まで横に立つ接客
心理的に低評価を投稿しずらくなり、ネガティブ投稿を避けさせたと判断され、評価の信頼性が低いと見なされる。
Googleの審査基準が変われば、削除・非表示になるクチコミがある
ここまで紹介してきたとおり、クチコミは投稿された時点でGoogleのモデレーションシステムにより審査され、ポリシーに違反していなければ公開されます。
ただし注意すべきなのは、これはあくまでその時点の審査基準に基づいた結果であるということ。つまり、後からGoogleのポリシーや審査基準がアップデートされた場合、以前は問題なかったクチコミが削除・非表示の対象になることがあります。
審査基準はサイレントで変わる
Googleは透明性レポートの中でも、不正行為に対抗するためにポリシーや検出技術を常に進化させていると明言しています。そして重要なのは、こうした変更が事前にも事後にも通知されることはないという点です。
1年を通じてGoogleビジネスプロフィールのヘルプコミュニティーを監視していると、おそらく審査基準がアップデートされたであろうタイミングで、「クチコミが消えた」「クチコミが減っている!」という相談内容がスパイク(急増)することがあります。
チェーン店舗では「数百件単位の減少」が起こることも
特にチェーン事業者においては、全店合計で数百件のクチコミが先月比で減少しているといった報告を受けることも少なくありませんが、これらは多くの場合、
- ポリシーのアップデートにより、過去に問題なしとされた投稿が改めて審査対象になった
- 再審査の結果、「虚偽の可能性」や「関連性のない内容」と判断され、削除・非表示になった
といった可能性が考えられます。
審査は一度きりではなく「常に続いている」
改めて整理すると、Googleに投稿されたクチコミは
- 投稿時に自動審査され
- 表示後も継続的にモニタリングされ
- ポリシー、審査基準の改定に応じて再審査される
というサイクルの中にあるため、一度表示されたからといって永続的に表示される保証はないということです。
クチコミの著作権はユーザーにあり、表示されるかどうかはGoogleの裁量による
クチコミを積極的に集めている事業者にとっては、「集めたクチコミは自社の財産」と感じる方も少なくありません。その考え方には一理あります。たしかに、クチコミは顧客との信頼関係の積み重ねであり、時間と労力をかけて集めてきたものです。
しかし、クチコミの法律上の著作権は投稿したユーザー本人に帰属しています。さらに、クチコミをGoogleマップ上で表示するかどうかの判断は、Googleの運用ポリシーに基づくものであり、ビジネス側が自由に管理できるものではありません。
そのため、Googleのポリシーや審査基準が変更され、過去には問題なかった投稿が削除・非表示になったとしても、ビジネス側にはそれをコントロールする権限はなく、「なぜ表示されないのか」を完全に把握する手段もありません。Googleに問い合わせたとて、詳細な理由が開示されることは少ないでしょうし、Google側には説明責任もありません。
すでにインフラの一部と化したGoogleマップというサービスではありますが、あくまでGoogleという企業が運営するプラットフォームであるという事実を忘れてはいけません。そこに掲載されるクチコミも、Googleのポリシーと審査基準に基づいて表示されるコンテンツであるという前提を持つことが不可欠です。
こうしたマインドセットを持ち、これまで解説してきたクチコミが公開・非公開になる仕組みを理解しておけば、たとえ急激にクチコミ数が減少したとしても、慌てず冷静に対処できると思います。
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