AIクチコミ生成ツールで“特定のコンテンツ”がクチコミに含まれると、Googleのガイドライン違反になるのか?

昨日、Googleマップ「虚偽の、または誤解を招くコンテンツやクチコミ」徹底解説、事業者のクチコミ集めのベストプラクティスとは?という記事で、Googleが定めるいわゆる虚偽のエンゲージメントについて解説する記事を執筆しました。その中でこれも別途しっかりと触れておいたほうが良いだろうなと感じる一節がありましたので、解説しておきたいと思います。

クチコミ内に特定のコンテンツを含めるよう依頼することは禁止行為

気になった一節はハイライトしている「特定のコンテンツを含めるよう依頼することもできません。」という部分で、これは事業者がユーザーにクチコミ投稿を依頼する際に禁止されている行為として、クチコミ内に特定のコンテンツを含めるよう依頼することが禁止されていると書かれた一節です。

AIはユーザーが意図しない特定のコンテンツをクチコミに含めることができる

これまた以前、「AIでGoogleクチコミ量産」は本当に正解?リスクと落とし穴を徹底解説という記事の中で、AIにクチコミを書かせる行為、そういったツールの利用は、クチコミが削除されるリスク、景表法違反となる可能性等について言及しましたが、AIを使ってクチコミを書かせると、生成されたクチコミ内にユーザーが意図しないコンテンツが含まれる可能性を完全に排除することは出来ません。

AIによる生成は非常に便利ですし、プロンプト次第で色々な出力が可能ですが、出力内容を完全に固定する、パターン化することはかなり難易度が高いです。加えてプロンプトの内容次第で出力結果をいかようにも変えることが出来ますので、AIクチコミ生成ツールの設定内に

「事前アンケート内でハンバーグランチへの満足度が5段階中3を超えたものについては、人気商品のハンバーグランチを、クチコミ案の中に”ハンバーグ” , “ハンバーグランチ”の形でキーワードとして自然に含め、なるべくポジティブな内容でクチコミ案を生成する。」

と指示されていた場合どうなるでしょうか?

こうしたAIクチコミ生成ツールがユーザーが意図しないクチコミに含めて欲しいキーワードをユーザーが書いたように装ってクチコミ案を生成し、あたかもユーザーがそのようにクチコミを書いたように仕立てることは十分に可能です。こうしたAIクチコミ生成ツールは「生成しているのはあくまでもクチコミ案、内容を確認して投稿しているのはユーザー」という構図を取ることによって、ガイドラインの隙間を巧みに突いている(ハックしている)と言えます。

私の手元で実際にGemini、ChatGPTで下記の入力にてクチコミ生成を試したところ、両者とも似たようなクチコミが生成されました。

AIへの指示文章

直前のアンケート内容に 

・ハンバーグランチの満足度は? → 5段階中で4 
・どの部分に満足されましたか? → 焼き加減
・店内の雰囲気はいかがでしたか? →混雑していなかった 
・接客はいかがでしたか? → 満足 

と入力されており、クチコミ案生成プロンプトに 

「事前アンケート内でハンバーグランチへの満足度が5段階中3を超えたものについては、人気商品のハンバーグランチを、クチコミ案の中に"ハンバーグ" , "ハンバーグランチ"の形でキーワードとして自然に含め、なるべくポジティブな内容でクチコミ案を生成する。」 

となっていた際に、どういったクチコミ案を出力する?

出力内容(Chat GPT5.2の出力例)


クチコミ案①(自然系・王道)

ハンバーグランチをいただきました。焼き加減がちょうど良くて、お肉のジューシーさがしっかり感じられました。店内も混雑しておらず、ゆったり食事ができたのも良かったです。接客も丁寧で気持ちよく過ごせました。

クチコミ案②(少し熱量高め)

人気のハンバーグランチを注文。焼き加減が絶妙で、ふっくらジューシーなハンバーグに満足しました。店内も落ち着いた雰囲気で混雑していなかったので、ゆっくり食事ができました。スタッフの対応も感じが良く、また利用したいと思います。

クチコミ案③(ライトで投稿しやすい)

ハンバーグランチが美味しかったです。焼き加減がちょうど良くて満足でした。店内も空いていて落ち着いて食事ができましたし、接客も丁寧でした。

普段AIをあまり使わない事業者であれば驚くかもしれませんが、AIにクチコミ案を書かせるというのは、こういうことが誰でも可能になってしまうということです。

Googleは虚偽の、または誤解を招くコンテンツやクチコミの中で、実体験に基づかないコンテンツやクチコミの投稿は禁止されており、クチコミ内容やクチコミスコアについても、誠実かつ公平なユーザー体験を投稿することとしています。AIによって生成されたクチコミは実体験に基づいたクチコミとは言えるものの、誠実かつ公平かと言われると疑問が残りますし、何よりユーザー側にその意図があったかないかに関わらず、特定のコンテンツを含めるよう出力することが可能です。

Googleガイドラインで禁止とされていないが、削除されるリスクはある

このようなAIクチコミ生成ツールによって生成されたクチコミについて、Googleの各種ガイドライン・ポリシーを読む限りにおいて、2026年2月時点でGoogleは明確に禁止行為であるとはしていないようです。

しかし「虚偽の、または誤解を招くコンテンツやクチコミ」徹底解説、事業者のクチコミ集めのベストプラクティスとは?の中でも解説しているように、場所の評価を操作しようとする試みを示唆する、異常な量またはパターンのクチコミ投稿が見られるコンテンツが禁止行為とされていることから、このようなパターンが認められるクチコミについては自動的に、もしくは将来的に削除される可能性があります。

私がGoogleビジネスプロフィールのプロダクトエキスパートとして日頃から大変お世話になっている永山卓也さんに教えていただいて、今も非常に大事にしている考え方として下記の3つの考え方があります。

  • 日本の法律上問題がないか?
  • Googleビジネスプロフィールのガイドライン・ポリシー上問題がないか?
  • 一般常識・モラルとして問題がないか?

今回解説しているAIクチコミ生成ツールに生成されたクチコミには、ユーザーが意図しない特定のコンテンツが含まれる可能性があるという問題に関しては

  • 日本の法律上、景表法違反となる可能性がある
  • Googleビジネスプロフィールのガイドライン・ポリシー上は直接的な言及がない
  • 一般常識・モラルとしては問題があると考えられる場合がある

となります。Googleというプラットフォーマーが提供する舞台(Googleマップ、Googleビジネスプロフィール)で最大の効果を発揮しようと考えるならば、3つの考え方全てにおいてブラックギリギリのグレーゾーンを攻めるべきと言えますが、グレーゾーンを攻めるとなるとガイドラインの解釈によってブラックとなりかねませんし、Googleのアルゴリズムの判断基準が少し厳しくなった時にも即ブラックとなる可能性があります。

また、上記の3つの考え方においてグレーゾーンギリギリを攻めている事業者、店舗をユーザーが見た時のレピュテーションリスク、ブランディング毀損などブランドイメージへの悪影響も考えられます。

AI全盛の2026年、様々な分野でAIを活用することで業務効率化が可能です。Googleビジネスプロフィールの運用についてもAI搭載のGoogleビジネスプロフィール運用支援ツールを使用することで様々な業務効率化が実現可能です。

ただし、こうしたAI搭載のGoogleビジネスプロフィール運用支援ツールを導入する事業者にしっかり考えていただきたいのは、こうした支援ツールの何らかの機能がGoogleビジネスプロフィールのガイドライン違反と判断された場合、店舗の停止、Googleアカウントの失効などのペナルティーは直接的に事業者に降りかかるということです。

ツールはあくまで業務効率化のための補助をするものであり、最終的な責任を負うのは事業者自身です。だからこそ、「この機能を使うと業務効率がアップするな」という視点だけではなく、「この機能を使っても日本法において、Googleガイドラインにおいて、モラルにおいて問題ないか?」という視点で判断することが重要です。

効率化とリスクは常に表裏一体です。短期的な成果だけでなく、長期的なブランド価値やユーザーからの信頼を守る視点を持ちながら、慎重にAIとの向き合い方を選択していく必要があるでしょう。

About moto-local 59 Articles
株式会社mov所属/観光庁DMO外部専門人材(Google Maps活用での誘客、周遊促進サポート)/Googleビジネスプロフィール ゴールドプロダクトエキスパート/観光地である伊豆出身なこともあり、観光地の消費額増大、地域活性化に貢献したいと思っています。/Googleビジネスプロフィール ヘルプコミュニティ(https://support.google.com/business/community?hl=ja)にてボランティアで回答中。

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