「AIでGoogleクチコミ量産」は本当に正解?リスクと落とし穴を徹底解説

クチコミ収集のツール色々ありますよね

事業者にとってユーザーに書いてもらうGoogleマップのクチコミは店舗にとっての財産です。素晴らしいクチコミは他のユーザーにとってお店を訪れる理由になり得るものであり、オーナーに代わってそのお店の体験を拡散してくれるものです。

しかしクチコミというのは自然に待っていても増えるものではありませんので、ほとんどの場合で店舗からの声がけ、ビジネスプロフィールから発行できるクチコミ投稿リンク、QRコード等を活用してクチコミを増やしていくことになります。

世の中には店舗のGoogleクチコミを増やすことを目的としたツールが複数提供されていますが、中にはGoogleのポリシー違反に該当したり、景表法違反の可能性が出てくる形でクチコミを増やすツールも存在しますので注意が必要です。

2025年からは特にAIを活用してクチコミを増やす仕組みが増えてきていますが、中には注意が必要な仕組み、ツールもあるため、テーマとしては結構重めな内容ではありますが解説してみようと思います。

注意が必要なクチコミの集め方とは

ツール発行の独自ページ内の文言が誘導文言になっている

ツール発行の独自ページを介して、そのページ内で文言によってクチコミを呼びかけるツールもありますが、この場合、このページ内の文言自体が高評価、ポジティブクチコミのみを誘導する文言になっていないか注意が必要です。

ユーザーのクチコミに対して特定の内容になるように誘導する、強制することは許可されておらず、「虚偽のエンゲージメント」に該当します。

(例 「今回ご来店いただいた際に、満足いただけた点についてクチコミをお願いします。」)

ツール発行の独自ページ内でインセンティブ提供がある

ツール発行の独自ページ内に記載された文言の中で、Googleクチコミの投稿でインセンティブ提供を呼びかけている場合、これも「虚偽のエンゲージメント」に該当します。

(例 「Googleにクチコミを投稿するとドリンク一杯無料です!」)

ツール内アンケートでゲーティングが行われている場合

ツール発行の独自URL内にアンケートが存在し、このアンケートで高評価をつけた場合のみGoogleへ誘導しクチコミが書けるようになっており、低評価をつけた場合にはGoogleへ遷移できない作りになっていると、「虚偽のエンゲージメント」のいわゆるゲーティングになります。

(※私が尊敬するGoogle プロダクトエキスパートの1人であるJun KobayashiさんがGoogleに確認済み https://x.com/JUNKOBAYASHIHoS/status/1897129338753216933

ツール内アンケートに回答するとAIがアンケート内容からクチコミを生成するタイプのもの

このタイプはAI生成が盛んになった2025年あたりから増えてきた印象です。ツール内にアンケートが存在するのは従前のものと変わりませんが、異なるのはユーザーが回答したアンケートを元にAIがクチコミ案を生成する点です。

ユーザーはAIによって生成されたクチコミをコピーするように促され、「よろしければGoogleでもクチコミを書いていただけませんか?」と表示された先にビジネスプロフィールから発行できるクチコミ投稿リンク、QRコードが表示されており、促されるままにAIで生成されたクチコミをコピペで投稿する形になります。(※場合によっては、ユーザーがAI生成のクチコミを編集・破棄して自分の言葉で書くことも可能ではあります。)

Googleにおいてクチコミは「自分自身の体験に基づいて、お店や場所の印象、受けたサービスについて説明する」ものであると高品質なクチコミや写真を投稿するためのヒントに明記されていますが、自分自身の体験についてAIを使ってクチコミの下書きを行う行為自体は、ローカルガイドの中でも行っているユーザーがいますし、これ自体をGoogleは禁止していません。

しかし、そもそもクチコミを増やすことを目的としたツールが提供している機能の中に組み込まれたAIによってアンケート内容からクチコミが生成される場合、ツール内でどのようなプロンプトがAIに与えられているかはユーザーは知る術がありません。

中立的なことをアンケートで回答したとて、プロンプト上で必ずポジティブな内容に修正される可能性がありますし、店舗側のローカル検索時に有利になるキーワードが自動的に組み込まれる可能性すらあります。このような背景を考えた時に、AIによって生成されたクチコミは真にユーザーの言葉と言えるのでしょうか?

私はそうは思いません。

アンケートからAIがクチコミを生成するものは特に注意が必要

AIがアンケートからクチコミ案を生成するツールに関しては、記述式アンケートをベースにするもの、選択式アンケートをベースにするもの、ハイブリッドに分類できますが、特に注意が必要なのは、選択式アンケートをベースにするものです。

景品表示法における法律違反となる可能性がある

AIによるクチコミ生成の元になるアンケートが選択式かつネガティブな選択肢がない場合、クチコミ生成段階でネガティブ意見を排除する仕組みとなってしまうため、これを元にクチコミが生成されると景品表示法における優良誤認表示とみなされる可能性があります。

虚偽のコンテンツ、不実表示でGoogleのポリシー違反となる可能性がある

(禁止および制限されているコンテンツ より引用)

AIがアンケートからクチコミを生成する場合、AI生成あるあるですが、情報の脚色・補完が行われユーザー体験と異なる内容が生成、その内容がクチコミとして投稿されると虚偽のコンテンツ、不実表示となりポリシー違反になる可能性があります。

「AI臭いクチコミ」が投稿されることの弊害

生成AI以前は「AI臭い」という表現もなかったわけですが、ある程度AI生成に慣れている人であれば、AI生成の画像、文言というのは「これ、AIで作ったな」とすぐわかるものです。AI生成の画像や文言はどうしても「臭い」が出るんですよね。上記で解説してきたようなAI生成のクチコミが店舗に大量に投稿された時に、どのような弊害があるのでしょうか?

ユーザーが見たときに胡散臭いクチコミばかりになる

AIにとって書かれたクチコミからはAI生成の「臭い」がある程度出てきます。2026年においてはユーザーがAI慣れしてきてるので見ればわかってしまいますし、相当に練り込まれたプロンプトであっても、出力の形にはある一定の規則性が生まれますので、どうしてもユーザーが記述したクチコミのリアルさには敵いません。

AIによるクチコミが90件、中庸的なクチコミが8件、批判が2件投稿されたクチコミスコア4.8の飲食店と、熱烈なファンによるクチコミが20件、中庸的なクチコミが50件、批判が5件、クチコミなしのスコアのみの評価が25件投稿されたクチコミスコア4.3のお店だと、どちらのお店のクチコミのほうが信用できそうか?これは当然ながら後者になります。

AI生成のクチコミは他のユーザーの参考になりにくい

AI生成のクチコミの場合、ユーザーが本当に感じたことだけではなくAIの脚色・補完が入ってくることがほとんどです。そうなると、別のユーザーがクチコミから一番知りたいお店のポジティブ、ネガティブ両面の脚色のない感想が得られにくく、お店選びの参考になりにくくなります。

店舗側でクチコミを元にしたPDCAが回らなくなる

AI生成のクチコミが増えてくると、ユーザーが実体験で体験していない脚色・補完が行われたクチコミが増えたり、プロンプトによっては店舗が書いて欲しいことしか書かれていないクチコミばかりになります。こうなると本来的にはクチコミを分析することで店舗にフィードバックできたはずの示唆が得られず、クチコミを元にしたPDCAが回らなくなります。

Googleマップアプリに実装されているGeminiによる機能の出力結果が”汚染”される

(Googleマップアプリ より引用)

Googleマップアプリにはクチコミを元にGoogleが店舗のクチコミの概要を生成する「Geminiで要約」、従来のQ&A機能に変わる機能として使える「この場所についてマップに質問する」が搭載されていますが、ツールによるAI生成のクチコミが店舗に増えてくると、AIによって脚色された内容が含まれたクチコミがソースとして組み込まれ、Geminiによる出力結果が”汚染”されることになります。

(Googleマップアプリ より引用)

そうなると、せっかくGoogleがユーザーの利便性向上のためにGeminiを活用して搭載した機能が想定した意図どおり機能しないこととなり、ユーザーにとっては不利益となり、店舗にとってはクレームの発生源となるわけです。ここまでくると、いよいよGoogleも「クチコミ投稿においてAIの利用を禁止する」という大鉈を振るってくる可能性も考えられるのではないでしょうか?

パターン化したクチコミ投稿フローがガイドライン違反と判定される可能性

(透明性レポート より引用)

Googleは透明性レポートの中で虚偽のクチコミを検知する仕組みの中にパターン学習があることを明らかにしていますが、クチコミ収集のツールから大量に投稿されたクチコミがあるということは、何らかの特定のパターンを持ったクチコミがある時期から急激に増えることを意味しています。

特定のツールや方法で収集された大量のクチコミは特定のパターンを持つと考えられるため、ある一定の閾値を超えると、ガイドライン違反の判定を受け、新規で投稿されたクチコミが公開されなくなるなどの制限を誘発することがあります。(※経験則として事例あり)

なお、ツールによるパターン化したクチコミ投稿フローは、今回解説しているAIがアンケート内容からクチコミを生成するツールに限らず、どのようなクチコミ収集ツールであっても、一定の閾値を超えると問題視される可能性はあります。

AI生成のクチコミの存在が不利益となる未来が来た時、クチコミは簡単に消せない

AI生成のクチコミが店舗に大量に投稿されていることで、上記で解説してきたような弊害が発生する未来が来た場合、問題の原因となっているAI生成のクチコミを取り除くことが必要になりますが、ツールの利用を止めても新規のAI生成のクチコミの投稿しか止めることはできません。

ツール利用中に大量に投稿されたAI生成のクチコミの影響を取り除くには、既存のAI生成のクチコミの削除が必要になりますが、Googleに投稿されたクチコミの著作権はユーザーに帰属するため、店舗側の意思でユーザーのクチコミの削除は容易にできません。

冒頭に解説したように、本来的にはユーザーによって書かれたクチコミは店舗にとって財産と言えるものですが、AI生成のクチコミは場合によっては負債、時限爆弾になることがあると言えます。

クチコミは「仕込む」ものじゃなく「育てる」もの

今回解説してきたクチコミを収集するツールの活用自体を否定するつもりはありません。ただ、中にはGoogleのポリシー違反、日本の法令違反となる可能性があるものがあります。ツールを活用することで、短期的にはクチコミが増えるように見えるかもしれませんが、長期的に見るとお店のブランドや信頼を損なってしまうリスクもあります。

やはり本質的には、ユーザーとの関係を丁寧に積み重ねていくことが大切で、「また来たい」「誰かに紹介したい」と思ってもらえるような体験を提供していくことこそが、良質なクチコミを生む土台になります。

地道なように見えるかもしれませんが、正道な店舗運営を真面目に行い、少しずつファンを増やしていくことで、自然とユーザーの言葉によるクチコミ(UGC)が生まれてきます。結果的に、これこそがもっとも持続的で信頼性の高いクチコミマーケティングに繋がります。

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株式会社mov所属/観光庁DMO外部専門人材(Google Maps活用での誘客、周遊促進サポート)/Googleビジネスプロフィール ゴールドプロダクトエキスパート/観光地である伊豆出身なこともあり、観光地の消費額増大、地域活性化に貢献したいと思っています。/Googleビジネスプロフィール ヘルプコミュニティ(https://support.google.com/business/community?hl=ja)にてボランティアで回答中。

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