Googleビジネスプロフィールのヘルプ記載はかなりの頻度で変更されますが、6月末から7月頭にかけて様々な箇所のヘルプが変更、加筆されています。今回はビジネスプロフィールのヘルプの中でも「ローカル検索結果のランキング」に関するヘルプが変更となりましたので解説します。なお、英語版の記事が変更になった際に、同じくGoogleビジネスプロフィールのプロダクトエキスパートである長谷川さんが解説記事を出されていますので、こちらも是非ご参考ください。
新旧の変更箇所
新旧比較をするために、まずは変更箇所のヘルプをご紹介します。なお、このヘルプページ全体で細かく変更されているのですが、今回記事としてはランキング決定の仕組みの箇所にフォーカスします。


変更点解説
ランキング操作に”重要”がつき、トップに配置

以前は最下部に表示されていた「金銭によるランキング操作を受け付けない旨」、「検索アルゴリズムは機密情報」である旨に“重要”とつけられ、ページ最上部に移動。
ローカル検索結果の決定に関してはGoogleのアルゴリズムによって決定されるわけですが、あたかも操作が可能そうな謳い文句を語る業者、順位保証を行うサービスなどが未だに複数あるわけで、ランキングはアルゴリズムが決定することを改めてしっかり伝える内容が最上部に来ました。
ローカル検索結果のランキング決定に関する言い回しの変化

以前のヘルプでは「ローカル検索結果のランキングが決定される仕組み」という言い回しだったのが「ローカル検索結果のランキングを決定する要素を理解する」という言い回しに変更されました。
この後に続く「関連性」「距離」「知名度」の内容もある程度変更され、「知名度」(旧名:視認性の高さ)に関しては記載内容が少なくなっていることも考えると、「決定の仕組み」、続く「要素」に記載がある内容のみを実施すればランキング決定において有利になるといった認識をされないように、あえて「要素を理解する」というファジーな言い回しにしたとも言えます。
経験則としてGoogleのヘルプが詳細を語らない部分は、細かく記載しすぎることでハックに繋がるTIPSを語らないようにする傾向が強いので、そういった側面もあるかもしれません。
要素解説で使用する単語の変化

以前は「ローカル検索結果では、主に関連性、距離、知名度などの要素を組み合わせて最適な検索結果が表示されます。」と表示されていた部分で、原文英語でも該当箇所は以前は「prominence」、現状は「popularity」 となっています。
Googleはローカライズが下手くそなので、ヘルプの日本語版がおかしいことは度々あるんですが、今回は原文からして異なっているので、何らかの意図があると考えるべきでしょう。
prominence:目立っている、突出している、存在感
popularity:人気度、人気の高さ
こうした使い分けがあるわけですが、「prominence」はやや専門的かつ抽象的で、ブランドが持つ影響力、外部評価なども内包する?と捉えられることも出来る言い回しですが、「popularity」はより直感的で人気があるお店、話題になっている等わかりやすい表現です。
「prominence」は広く認知が取れていれば良いといった考え方も場合によっては出来るわけで、裏技的、ハック手法によって有名に見せようとする事を考える業者もいるかもしれませんが、人気度である「popularity」は多くの人が支持しているという「ユーザー評価に根ざした価値」と言えるため、操作がしにくい指標でもあります。アルゴリズムの曖昧な抜け穴を塞ぐ意図があるかもしれない、というのは、少し穿った見方でしょうか。
なお、以前のヘルプにはこの後に続く文言として「遠い場所にあるビジネスでも、Google のアルゴリズムに基づいて、近くのビジネスより検索内容に合致していると判断された場合は、上位に表示される場合があります。」という一文があり、ローカル検索の性格を良く表した一文で個人的に好きだったのですが、これがなくなってしまったのは残念です。
距離:少し曖昧な表現に変更

「関連性」は言い回しが異なるだけで、内容に大きな変化はありませんでしたが、「距離」に関しては記載が変更となりました。
現状のヘルプ
距離とは「検索ユーザー|ビジネス 両者の距離」であると記載されており、ユーザーが現在地を共有していない場合は、Googleがユーザー位置を推測して検索結果を表示するとされています。
(例)渋谷 道玄坂のユニクロ前にいるユーザーが「ラーメン」と検索した際、現在地をGoogleに共有していれば、正確な位置(渋谷 道玄坂のユニクロ前)とビジネスの距離という考え方。
(例)渋谷 道玄坂のユニクロ前にいるユーザーがラーメンと検索した際、現在地をGoogleに共有していなければ、Googleが把握している位置(渋谷 道玄坂の付近?)とビジネスの距離という考え方。
以前のヘルプ
距離とは「検索語句で指定された場所|ビジネス 両者の距離」であると記載されており、検索語句で場所が指定されていない場合は、検索しているユーザーの現在地情報に基づいて距離が計算されると記載されていました。
(例)渋谷 道玄坂のユニクロ前にいるユーザーが「道玄坂 ラーメン」と検索した際、Googleが把握している道玄坂という場所|ビジネス 両者の距離という考え方。
(例)渋谷 道玄坂のユニクロ前にいるユーザーが「ラーメン」と検索した際、現在地をGoogleに共有しているいないに関わらず、ユーザーの位置とビジネスの距離という考え方。
以前のヘルプでは、ユーザーがどこにいようと検索語句内に指定された場所を含む(”道玄坂” ラーメン)場合、ユーザー位置は加味されないとも読み取れましたが、現行ヘルプでは逆に、ユーザーが検索語句内に指定された場所を含んでいても、あくまでも「検索しているユーザーから各ビジネスまでの距離」が優先されると読み取れます。
海外の専門家の中には、「距離要素で優位に立つには、”Googleが把握している地名の緯度経度”(※調べる方法があります。)に限りなく近い場所にオフィスを構えることが重要。仮オフィスでも何でもいい。」と語っていた方もいるので、こうしたハックを塞ぐ意図もあるのかもしれません。
知名度:視認性の高さという言い回しが廃止、内容が大幅カット

このセクションで大きいのは、以前のヘルプでは「視認性の高さ」と記載されていたものが「知名度」に変更された(以前の表現に戻った)ことでしょう。なお原文では今も昔も「prominence」であることは変わらずです。
日本語圏からすると「視認性の高さ」という謎表現が廃止されたことは嬉しい変更です。私もセミナー等で解説する際は「視認性の高さ、平たく言うと知名度ですね。」といった説明をしていたので、地味にこの変更は嬉しいです。
なお以前のヘルプには
「ビジネスによっては、オフラインでの知名度の方が高いことがありますが、ローカル検索結果のランキングにはこうした情報が加味されます。たとえば、有名な博物館、ランドマークとなるホテル、有名なブランド名を持つお店などは、ローカル検索結果で上位に表示されやすくなります。」
という表記があり、いわゆるランドマークとして認識されている施設、有名ブランドなどは表示されやすいということが説明されていましたが、この部分がぎゅっと凝縮されて、「知名度の高い場所は、検索結果に表示される可能性が高くなります。」とコンパクトにまとめられました。
同様に
「ビジネスについてのウェブ上の情報(リンク、記事、店舗一覧など)も視認性の高さに影響します。Google でのクチコミ数とスコアも、ローカル検索結果のランキングに影響します。」
という記載も
「この要素は、ビジネスにリンクしているウェブサイトの数やレビューの数などの情報に基づいて決定されます。クチコミ数が多く評価の高いビジネスは、ランキングが高くなります。」
と表現が変わりました。ビジネスにリンクしているウェブ上の様々な店舗情報が影響するという記載が少し曖昧になってしまったのは残念ですが、これもまたハックを防ぐ意図があるのかもしれません。
本質は変わらない
ヘルプに関する記載変更を解説してきましたが、結論としてビジネスプロフィールのオーナーとして本質的にやることは変わりはありません。セミナー等でも常々お伝えしていることですが、Googleビジネスプロフィールはオーナー登録、基本情報を入力して終わりではありません。
関連性に関して言えば、ビジネス情報を正確かつ詳細にし、かつ最新に保つことが重要で、説明文、属性、メニュー、サービス、商品など、ガイドラインに注意しつつ限りなく情報を入力することがオススメです。かつ、お店の最新情報を伝えるために、積極的に投稿機能を活用することが重要ですし、ユーザーから詳細なクチコミを獲得することも重要です。
距離に関して言えば、登録住所を正確にすること、建物名などがないとわかりにくい場合は建物名も明記、さらにマップ上のピン位置を正しく調整すること、ストリートビューがおかしくなっていないかを確認する等も重要になります。
知名度に関して言えば、クチコミを自然に集める取り組みをしつつ、返信を行うことでエンゲージメントを強化する。さらに、公式サイトをSEO上の評価が高くなるように作り上げ、運用すること、地域メディアなど外部サイトでも紹介してもらうなどの他、インバウンド客に人気であればインバウンドメディアでの露出も効果的でしょう。さらにSNS運用も重要ですし、他店と差をつける接客、話題となるようなサービスなど、人気を高める取組みも重要です。
結局のところ対策に近道はなく、地道にコツコツと積み上げる運用、クチコミ、実績があって地域の人気店となるわけです。
たまに「これをやるとものすごく効く」みたいなハック手法が登場することも無きにしもあらずですが、レギュレーションに記載されていない手法で一時的に有利になることはあるかもしれませんが、Googleも賢いので、いずれ抜け道は塞がれていきます。また、解釈の変更でハックとして紹介されていたものが明日には明確なガイドライン違反となるかもしれません。
ユーザーが検索結果で知りたいのは、“人気があるように見えるお店”ではなく、“本当に地域に必要とされ支持されているお店”です。ローカル検索も今や、こうした実態の伴う店舗が正当に評価される方向へ向かっていると言えるでしょう。