いつから追加されているのか正確に覚えていないのですが、2024年末あたりから表示されている(と思われる)Googleマップアプリ内のクチコミつき写真表示(※正式名称がないので便宜上こう呼んでいます。)ですが、当初面白い機能だと思ってましたが、よくよく深堀ってみると問題だらけというか、表示ロジックが謎すぎる機能でしたので、詳しく解説します。
「クチコミつき写真表示」とは?
正式名称が今のところないと思うので、便宜上こう読んでいますが、Googleマップアプリ環境で英語環境では先行して表示されていたものになります。日本では冒頭書いたように2024年12月頃には確認出来ていたように思います。

表示位置としてはGoogleマップアプリの概要タブになります。
なお、概要タブに表示される写真部分はこれまでも色々な変遷を辿ってきています。Googleマイビジネス時代はオーナー提供のカバー写真が優先表示されていたように思いますが、その後Googleビジネスプロフィールになったくらいから、ユーザー提供の写真が優先的に表示されるようになり、動画もここに表示されやすくなってきました。さらにはオーナー提供の写真つき投稿がある場合、下記に示す画像のように、写真と共に投稿文章が一部表示されるようにもなっています。

追加実装されたクチコミつき写真表示は、ユーザー提供写真にクチコミが抜粋表示された見た目となっており、これをクリックすると写真、ジャンルと数字、クチコミ、写真などがそれぞれ表示されます。
「クチコミつき写真表示」の要素 (概要タブ)
概要タブに表示された際のクチコミつき写真表示の要素は下記のとおりです。

- ユーザー提供写真
- ユーザーアイコン
- キーワード
- キーワード横に()で囲われた数字
- クチコミの抜粋
この表示からはユーザー提供写真、キーワード、キーワード横に()で囲われた数字、クチコミの抜粋は関係があるものと理解するのが自然でしょう。実際に私も深堀って分析するまでは、そう思っていました。
例として表示しているパン屋さんの場合、ロールパンらしき写真、食パン(32)と書かれており、クチコミが抜粋されていますが、よく見ると食パンというキーワードと写真は一致しておらず、表示されているクチコミの抜粋にも食パンというキーワードは含まれていません。
「クチコミつき写真表示」の要素(クリック後)
概要タブに表示されているクチコミつき写真表示をクリックすると、表示される要素は下記のとおりです。

- 代表写真(ユーザー提供写真)
- 写真を投稿したユーザーのアイコン
- 写真を投稿したユーザーのユーザー名
- 写真が投稿された日付(◯ヶ月前などと表示)
- キーワード
- キーワード横に()で囲われた数字
- クチコミの抜粋(クリックするとクチコミ全文に遷移)
- 写真(動画が表示されるケースもあり)
- その他の写真
概要タブ同様に表示されるそれぞれに含まれるものは関係があるものと理解すると思いますが、それぞれを詳しく見ていくと、それぞれの要素に関連があるものもあれば、ないものが表示されていることも多く、見れば見るほど混乱してしまいます。
「クチコミつき写真表示」の要素(クリック後)を詳細解説
それぞれの要素ごとに、どのような情報が表示されているのかを深堀って調べてみました。なお、調査結果は2025年1月時点のもので、将来的に結果が変わる可能性があります。
代表写真(ユーザー提供写真)

まず写真についてはトップに表示される代表写真がありますが、これはクリック後の要素である写真に含まれる何らかの写真が選定されるロジックになっているようですが、選定のロジックは不明です。
キーワード

例としているもののキーワードは食パンなのですが、そもそも食パンと代表写真(ユーザー提供写真)は一致しておらず、後述するクチコミの抜粋とも一致しないことがあり、写真とも一致しないことがあります。※一部は一致しています。
キーワード横に()で囲われた数字
今回の例では食パン(32)と記載されていますが、今回例にしているパン屋さんの場合、クチコミの総数が38、かつ食パンを含むクチコミは見たところ1件しかありません。なおかつパンだけ含む形で検索しても14件となっており、どう考えても32という数字と一致しません。
なお、この数字部分は気になって複数の店舗で検証してみましたが、いずれも表示されている数字はキーワードを言及しているクチコミの数と一致していませんでした。
クチコミの抜粋(クリックするとクチコミ全文に遷移)

クチコミの抜粋は複数件表示されるケースもありますが、キーワードを含むクチコミがある場合、キーワードを含まないクチコミがある場合の両方のパターンが存在します。

なお、クチコミ内に食パンが含まれていないケースでは、クチコミと一緒に投稿されている写真があったとしても、写真のキャプションに食パンが含まれておらず、どういったロジックでクチコミの抜粋が生成されているのか、その選定元は何なのかも含めて不明となります。
写真(動画が表示されるケースもあり)

写真にはデフォルトで4枚の写真もしくは動画が表示されますが、ここに表示される写真は、下記のパターンが存在します。
- クチコミなしで写真のみで投稿されたもの(かつ食パンとは関連ない写真/関係あるパターンもありそう※今回のパン屋さんの場合は確認出来ず)
- クチコミと一緒に投稿された写真(かつ食パンをクチコミに含まない)
- クチコミと一緒に投稿された写真(かつ食パンをクチコミに含む)
※ここで解説している”写真”に採用された写真を投稿しているユーザーが、同時に複数の写真を投稿している場合、このユーザーの複数枚の写真が食パンの写真として採用されている可能性がある。
「クチコミつき写真表示」の要素(クリック後)の問題点
上記で詳細に見てきたように、代表写真、キーワード、キーワード横の数字、クチコミの抜粋、写真は、一見キーワードと関連しているように思えますが、実際にはそうでないパターンが多いです。ユーザー心理として食パン(32)という表示からは、「食パンの写真が表示されており、32件の食パンに関して言及したクチコミがあり、他のユーザーの写真を含めて食パンの写真や動画が下部に複数表示されるのか。」と理解すると思いますが、実際の挙動は異なります。
実際の挙動としては、「キーワードと関係があるのかないのかわからない写真が代表写真として表示され、キーワード横の数字は何を示しているのかわからず、クチコミの抜粋はキーワードに関して言及していないものも多く、写真にはキーワードと関係があるのかないのかわからない写真と動画が複数枚表示される」となります。
注目のメニューも似たような挙動を示す機能として、あまり使いものになる機能とは思いませんが、今回追加されたクチコミつき写真表示の挙動に関しても、少なくとも現時点ではユーザーを混乱させるだけの機能になってしまっています。

なお、注目のメニューをGoogleマップアプリでクリックした際の挙動は、今回のクチコミつき写真表示の挙動と酷似(代表写真、メニュー名と価格、人気タグ、クチコミの抜粋、写真 が表示される)しています。

今回紹介しているクチコミつき写真表示機能が、引き続き機能として残る場合は、将来的に精度が改善され、キーワードを被写体とした代表写真、キーワード、クチコミ内でキーワードが言及された回数表示、キーワードを含むクチコミの抜粋、キーワードを被写体とした写真と動画が表示されるようになれば、ある程度利便性が高い機能になるかと思います。
生成AIのアウトプット精度が低いことに起因している?
今回解説したクチコミつき写真表示はGoogleがどのような仕組みで生成しているかは公開されていませんが、おそらく生成AIも利用しつつ、何らかのアルゴリズムで生成されているはずです。
生成AIによる自動生成回答の精度が高くないのはご存知の通りですが、同じことはGoogle検索に実装されているAI による概要にも言えます。AI による概要は、Google 検索の AI による概要で、情報をすばやく簡単に見つける(https://support.google.com/websearch/answer/14901683?hl=ja)に書かれているように、生成 AI を使用しており、不正確な情報や不適切な情報を提供することがあります。
こうした生成AIによる誤った検索結果が、検索という能動的な行動の後に表示されるのはまだしも、今回解説しているクチコミつき写真表示や、別途解説予定の注目のメニューなど、お店の情報を見に行った時に、いわば受動的に目にしてしまう状態になっているのは大きな問題であると考えます。
クチコミつき写真表示や注目のメニューは、お店の情報を閲覧したユーザーの消費行動に影響を与える可能性も高く精度の向上が求められます。今回の件に限らず、Googleの新機能について疑問点がある、改善要望がある時は、画面内に提供されていることが多いフィードバック送信を是非活用してください。