2024年8月末にGoogleビジネスプロフィールのテキストメニューに、Wolt(ウォルト)のメニューが表示されるようになりました。なお、Wolt(ウォルト)はフィンランドのヘルシンキで創業したフードデリバリーのサービスです。オンラインで注文、自宅までデリバリーしてくれるということで、日本でいうところの出前館と似たサービスだと言えます。

このWolt(ウォルト)がGoogleビジネスプロフィールに連携されていると、現時点で何が問題になるのか解説します。なお、Wolt(ウォルト)のメニューがGoogleビジネスプロフィールのテキストメニューに表示されることについては、Googleビジネスプロフィールのヘルプコミュニティー上でも、8月29日に注意喚起の投稿を行っています。

Wolt(ウォルト)メニューはGoogleビジネスプロフィールに自動的に追加される可能性が高い

Googleビジネスプロフィールの新機能は特に予告なく実装されるわけですが、Wolt(ウォルト)のメニューも、Wolt(ウォルト)に店舗が存在し、メニューが掲載されていると、Googleビジネスプロフィールのテキストメニュー内に自動的にメニューソースの1つとして追加される可能性が高いです。(※すべての事例を見ているわけではないため、こういう言い方をしています。)

WoltがGoogleビジネスプロフィールのメニューソースに追加された

なお、Wolt(ウォルト)に店舗を事業者の意思でオープンしておらず、メニューを掲載していなかった場合でも、勝手にWolt(ウォルト)内に店舗ページがオープンしている事例があったようです。(※現在は解消したとのこと。)

Wolt(ウォルト)メニューがGoogleビジネスプロフィールに連携されると、高確率でクレームになる

Wolt(ウォルト)に事業者の意思で店舗ページを作成、メニューを掲載している場合であっても、Wolt(ウォルト)掲載のメニューがGoogleビジネスプロフィールに連携されると、場合によっては事業者にとって店頭でのクレームに繋がりかねません。

これはGoogleビジネスプロフィールに設定するメニューは店頭で提供しているメニューであり、Wolt(ウォルト)で提供しているメニューはテイクアウトメニューであるためです。

テイクアアウトのWoltメニュー がナレッジパネルに表示されてしまっている例

Googleビジネスプロフィールのテキストメニューの構成

今回取り上げている問題は、Wolt(ウォルト)メニューが事業者の承諾を得ずに勝手にメニューソースになってしまうという仕様自体に問題があると言えますが、まずはGoogleビジネスプロフィールのテキストメニューの構成を理解していないと詳細がわかりにくいと思いますので、Googleビジネスプロフィールのテキストめユーの構成を説明します。Googleビジネスプロフィールのテキストメニューは階層として下記の構造となります。

  • メニューソース
  • メニューセクション
  • メニューアイテム

メニューソース

現時点の仕様ではGoogleビジネスプロフィールで設定したメニュー、Wolt(ウォルト)から連携されたメニューがメニューソースとして選択可能ですが、メニューソースは1つしか選択できません。なお、優先するメニューソースに設定したメニューは、お客様画面(PC検索、スマートフォン検索、Googleマップアプリ環境)で優先表示されます。

優先するメニューソースを選択すると✅️マークがつく

優先するメニューソースが選択されていない場合、後からGoogleビジネスプロフィールに追加されたメニューソースが後勝ちする挙動を示した店舗も私が見ている範囲内ではありました。そのため、すでにGoogleビジネスプロフィールのテキストメニューを設定していて、後からWolt(ウォルト)メニューが自動的に追加された場合、Wolt(ウォルト)メニューが優先表示されている可能性はあると思います。(※リリース当初の挙動でしたので、現在はどうなるかは不明確でヘルプにも記載はありません。)

メニューセクション

メニューソースの下位概念となり、メニュソース内に存在するメニュー群のグループ名と例えるとわかりやすいでしょうか。例で例えるとハンバーグメニュー、ドリンクメニュー、グランドメニューなどとなります。

メニューセクションとメニューアイテム

メニューアイテム

メニューセクションの下位概念となり、具体的なメニュー名となります。例で例えると和牛ハンバーグ、オレンジジュースなどとなり、メニュー名と説明文、価格の他にメニュー写真を入力可能です。

メニューソースとしてWolt(ウォルト)メニューが選択されると問題になる

解説した通り、Googleビジネスプロフィールのテキストメニューの構造上、メニューソースは1つしか選択が出来ず、選択されたメニューソース配下のメニューセクション、その中に存在するメニューアイテムのみが表示されます。

そのため、Wolt(ウォルト)メニューがメニューソースとして選択されていると、Googleビジネスプロフィールでのテキストメニューとして設定したメニュー(※店舗が店頭で提供しているメニュー)が表示されません。

こうなると、店舗で飲食を楽しみたいと思っているお客様が、検索、マップでお店を見つけ、Wolt(ウォルト)メニューを見てお腹を空かして来店された場合、「このメニューはないのか!」「価格が違うじゃないか!」とクレームになることが容易に想像出来ます。

かつ、これがインバンド客ともなると、言語の問題もあって誤解の解消は非常に困難です。さらに、店頭のオーナー自らがGoogleビジネスプロフィールを管理しているならまだしも、チェーン店で情報は本部が一括管理しているような状況だと、Googleビジネスプロフィールのテキストメニュー自体に何が掲載されているべきか等も把握していない可能性が高く、さらにお客様のクレーム対応で混乱が生じるでしょう。

Googleビジネスプロフィールのテキストメニューが空だと、Wolt(ウォルト)メニューが表示されているかも。。

Woltしかメニューソースに表示されていないケース

店舗事業者で特にご注意いただきたいのが、Googleビジネスプロフィールにおいてテキストメニューを設定していない事業者です。この場合、Wolt(ウォルト)メニューが自動連携されると、メニューソースとして、Wolt(ウォルト)メニューしか存在しない状況になります。つまり、事業者が知らない状況でお客様にはWolt(ウォルト)メニューが表示されている可能性が出てきます。

私が知っている事業者で実際にこの状況になってしまった事業者がおり、前述のとおり店頭で提供していないメニューが掲載されていることで、店頭でのクレームが発生する可能性がありました。緊急対応としてメニューソースにGoogleビジネスプロフィールのテキストメニューを全店で新規登録し、優先するメニューソースに設定した事業者がいます。

この対応前は、店舗では提供していないWolt(ウォルト)メニューがビジネスプロフィールのナレッジパネルに表示されており、Googleビジネスプロフィールのテキストメニューを設定して、ようやくWolt(ウォルト)メニューの代わりに、店頭で提供しているテキストメニューが表示されました。

なお、この対処方法については、Googleビジネスプロフィールのヘルプコミュニティーの注意喚起の投稿内でも記載のとおり、サポート窓口に問い合わせた結果、優先するメニューソースをご自身で登録した新規のメニューソースにしない限り、Woltのメニューが表示され続けるとのことです。

Wolt(ウォルト)メニュー問題の今後

この問題の根本解決には、事業者が望まないメニューソースが自動連携された後に、事業者の意思で削除(オプトアウト)出来ることが必要だと思いますが、現時点ではこうした機能は提供されていません。

なお、国内の出前やフードデリバリーサービスの利用に関するアンケート調査は各社が行っていますが、ほぼすべての調査結果で最も利用人数が多いのはUber Eats、続いて出前館、続いてmenuもしくはWoltという状況です。

Uber Eats、出前館、Woltは、既にGoogleビジネスプロフィールのオンライン注文リンクに自動的に表示されていますが、なぜ今回Woltだけがテキストメニューのメニューソースとして表示されるようになったのか背景は不明です。

Googleは社風として新機能はどんどんリリース、問題があればユーザーからのフィードバックを参考に修正していく文化ですので、問題を感じたリリースについてはどんどんフィードバックをしていくしかありません。

投稿者 moto-local

株式会社mov所属/観光庁DMO外部専門人材(Google Maps活用での誘客、周遊促進サポート)/Googleビジネスプロフィール ゴールドプロダクトエキスパート/観光地である伊豆出身なこともあり、観光地の消費額増大、地域活性化に貢献したいと思っています。/Googleビジネスプロフィール ヘルプコミュニティ(https://support.google.com/business/community?hl=ja)にてボランティアで回答中。