Googleビジネスプロフィールは、Googleが事業者(店主)向けに提供している無料のツールですが、個人的には都心はもとより、特に地方の事業者にはしっかりと活用して欲しいと常々思っています。
所属している㈱movの業務の一環で、地方でGoogleビジネスプロフィール活用セミナーに登壇する機会が少なからずあるのですが、常に議題に入れて欲しいと依頼いただくのが、Googleビジネスプロフィールの活用方法ではなく、Googleビジネスプロフィールのオーナー登録の仕方、そして重要性を語ることです。
そして、それ以前に問題になることが多いのが「なぜGoogleビジネスプロフィールを使う必要があるのか?」そして「なぜGoogleマップを通じて集客を考える必要があるのか?」をご理解いただくことです。
いつも地方でのセミナーの際には、「なぜ今Googleマップなのか?」「なぜGoogleビジネスプロフィールを使うことが重要なのか?」は解説しているんですが、改めてきちんと文字にして残しておこうと思います。
このブログは、特に地方の観光事業者がGoogleビジネスプロフィールを通じて集客、売上を増大する一助になればという思いもあって作っていますので、この記事が地方の観光事業者の皆さんに少しでも届けばと思います。
Googleマップが事業者にとって重要な理由
地方のセミナーでは、まずここから話をすることが多いのですが、地方の観光事業者が売上・集客を伸ばす時のターゲットは、地元の常連さんではなく、新規の観光客となります。
土地勘がある人はマップで検索しない
地元のお客さん、常連客、土地勘がある人達/新規の観光客とで消費行動に至る流れは異なります。地元のお客さん、土地勘がある人達は、お店の場所は把握していますし、何曜日にお休みであるか等も把握していることが多いので、基本的にマップでお店を検索しませんし、ホームページを見ることもほぼないでしょう。
土地勘がない観光客は検索に頼る
対して観光客の場合、(例)「よし、今年の冬は福島のスパリゾートハワイアンズに行こう!」などと、行きたい土地や施設が決まったとして、土地勘がありませんし、そもそも他のお店の存在を知りませんので、周辺の情報を得るためにはGoogleをはじめとしたブラウザで検索をしたり、Googleマップをはじめとしたウェブマップサービスで、飲食店、小売店、観光名所などを検索したり、SNS等で検索をするわけです。(※今回の例では宿泊施設&観光施設としてのハワイアンズとしていますが、場合によっては行きたい観光名所を決めた後、宿泊施設を決める場合も当然あります。)
Googleマップの月間利用者数は全世界で20億人!
今回はあくまでGoogleマップとGoogleビジネスプロフィールの話なので、Google検索やSNSは置いておいて、Googleマップをはじめとしたウェブマップサービスについて考えますが、ウェブマップサービスは、Googleマップ、Yahooマップ、NAVITIME、Apple Maps、Mapionなど様々なものが存在しますが、その中で、最も利用者数が多いのがGoogleマップです。
少し古いデータですが、2020年5月に視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社が発表した調査結果によると、日本におけるGoogleマップの月間利用者数は主要なウェブマップサービスの中で最多となる約4,700万人、続いてNAVITIMEが約1,180万人となっており、Yahooマップは約870万人でした。
日本における最新の数字は公表されていませんが、Googleは2024年10月29日に公開した第3四半期決算レポートにおいて、Googleマップの全世界における月間利用者が20億人を超えていることを明らかにしています。なお、国連広報センターによると、2024年時点の世界人口は82億人ということで、単純計算で世界人口の25%が毎月Googleマップを使っていることになります。
日本人向けということを考えると、今後はYahooマップにも期待したいところではありますが、日本人、そしてインバウンド観光客にも見てもらえることを考えると、今の時代においてGoogleマップがいかに重要なサービスになっているかがわかります。
Googleマップに載っていない=認識されない
Goolgeマップの利用人数が多いことがわかった上で、Googleマップにお店や施設が掲載される仕組みについて簡単に解説しておきます。
GoogleマップはGoogleと利用者が協力して作り上げるマップになっているため、Googleも様々な情報源から店舗データを収集しマップに登録することがありますし、加えてGoogleマップのユーザー、そしてローカルガイドもお店や施設を登録する可能性があります。そして最後にお店や施設の所有者である事業者自身も自らGoogleマップユーザーとしてお店や施設を登録することが可能です。
以上のようにGoogleマップにお店や施設が登録される仕組みは大まかに3通りあると言えますが、そのいずれの方法でも、お店、施設が登録されていないと、例え現実世界でお店が存在していても、Googleマップ内で検索した時にお店は表示されません。
そして観光客の場合、土地勘がありませんので検索に頼るわけで、Googleマップで「お土産屋」「居酒屋」などと検索した時に、見知らぬ土地で表示されたお店の中から行き先を検討することになります。つまり、Googleマップの検索結果に表示されない限り、お店の存在を認知されない=来店しないわけです。
なお、「お土産屋」「居酒屋」などその場所に関する検索(ローカル検索)を行った際の検索結果の決定方法、検索順位の決定方法については長くなりますので、また別の機会に解説記事を作成したいと思います。
Googleマップの情報が古い=クレームとなる可能性
さて、Googleマップにお店が登録されていることの重要性はわかっていただけたかと思いますが、お店がGoogleマップに登録されている、ローカル検索で表示される、ここまでクリアしたとして、残る問題が1つあります。それは、「表示されている情報は正確なのか?」です。
Googleマップにお店や施設が登録される方法はおおまかに3通りあるとご説明した通りですが、そもそも掲載されているお店の情報は正確でしょうか?最新でしょうか?
お店の基本情報である【店名】【住所】【電話番号】【営業時間】(※英語の頭文字をとってNAP+Oとも呼ばれます。)は、お店のオーナーがマップに登録していれば正確でしょうが、Google、もしくはGoogleマップユーザによってお店が登録されていた場合、それが正確で最新ではない可能性があります。
特にコロナ禍の際は、営業日、営業時間が大きく変わった事業者が多かったと思いますが、当時は私も飲食店等を利用する中で、Googleマップの営業時間と実店舗の営業時間が異なっており、非常に困りました。現在はそのような状況は減りつつありますが、それでもGoogleマップの記載と実店舗の営業時間が異なるお店は一定の割合で見かけます。
そのため、お店がGoogleマップに登録されている、ローカル検索で表示されるをクリアした後に、お店の基本情報である【店名】【住所】【電話番号】【営業時間】が正しいか、最新であるかが重要となります。
Googleビジネスプロフィールが事業者にとって重要な理由
お店がGoogleマップに登録されている、ローカル検索で表示されるをクリアした後に、「表示されている情報は正確なのか?」が重要であること解説しましたが、Googleマップに表示されている情報を正確に保つには、能動的にGoogleマップを編集出来る必要があります。
Googleマップに掲載されているお店、施設などの情報は、「情報の修正を提案」から編集の提案をすることが可能ですが、もっと能動的にオーナーとして情報を編集するためのツールがGoogleビジネスプロフィールです。
地方でセミナーをする際には、「誤解を恐れずに端的に伝えると、GoogleビジネスプロフィールはGoogleマップに掲載されている、皆さんのお店の編集ツールなんです。」と語る時がありますが、まさに自分のお店の情報の編集ツールとして日常的に使っていただくべきツールとなります。
Googleマップを使って観光客がお店探しをする以上、そこに表示されたお店の基本情報は正しい必要がありますが、基本情報をはじめとするお店の情報を能動的に編集するためにも、事業者にとってGoogleビジネスプロフィールを利用することが重要となります。
Googleビジネスプロフィールを使って出来ること
Googleビジネスプロフィールを使うことで、お店の基本情報である【店名】【住所】【電話番号】【営業時間】の編集はもとより、決済手段を追加したり、お店の説明文を書いたり、お店の最新のお知らせを届けることも可能になります。
さらにはお客さんが残してくれたクチコミへの返信、オーナーとしての写真の掲載、飲食店であればメニューの掲載、小売店であれば販売している商品の掲載なども可能です。
宿泊施設の場合は、ホテルの詳細と呼ばれる機能が利用可能となりますが、このホテルの詳細から【人気の設備】【フード&ドリンク】【ポリシーとお支払い】【アクティビティ】【駐車場】など実に様々な項目が入力可能です。さらにここで入力した内容は、Googleで宿泊施設を検索する際に検索条件(フィルタ)として利用されるため、温泉、露天風呂の有無、駐車場、送迎、WiFiなどの情報をホテルの詳細で詳細な条件を入力していないと、検索上で非常に不利となります。
また、GoogleビジネスプロフィールにはGoogle検索、Googleマップでお店を何人のユーザーが閲覧していたか、お店の情報(ナレッジパネル)を閲覧した後にルート検索をした人数、電話をかけた人数、ウェブサイトへのリンクをクリックした人数も追うことが可能です。
その他にも、ユーザーがお店を表示した際になんと検索していたのか?まで把握することが可能です。これはつまり、お店を「居酒屋」で検索していたのか、「いわき 居酒屋」で検索していたのか、具体的に店名で検索していたのかを含め把握が出来るということです。
Googleビジネスプロフィールはオーナー確認してからがスタート
Googleビジネスプロフィールを利用するには、まずはオーナー確認と呼ばれるプロセスを通じて、ご自身がお店のオーナー、管理する立場であることを証明する必要がありますが、これについても長くなるので、また別の機会に解説します。
事業者がGoogleビジネスプロフィールを利用するうえでは、まずは業務の合間等で出来ることから初めていただくしかないのですが、重要なのはお店の基本情報である【店名】【住所】【電話番号】【営業時間】の確認だけで利用をやめないことです。
地方でセミナーをする際に、地元のDMO、観光協会様など依頼元からいただくお悩みとして共通しているのが、「オーナー登録後の利活用が進まない」ことです。こうした事業者に共通しているのが、オーナー確認を済ませた後、お店の基本情報である【店名】【住所】【電話番号】【営業時間】を確認、編集をしてそれっきりになってしまうパターンです。
日々更新を行っていかないと、営業時間は古くなっていく可能性がありますし、Googleビジネスプロフィールには現時点で日本の祝祭日の営業時間を自動で反映してくれる機能はありませんので、毎年長期休暇(GWやお盆)、年末年始の営業時間が正しくないと思われるお店や施設が散見されます。
こうした日々の営業時間の更新はもとより、Googleビジネスプロフィールの機能であるオーナー提供写真の追加、最新情報の提供(投稿機能)などを通じて、お店に今どんな商品が陳列されているのか、季節のメニューはどんなものかを継続的に発信していくことが集客力アップに繋がりますし、クチコミに返信することを通じて、お客さんにきちんと向き合っているお店であることのアピールも可能です。
Googleビジネスプロフィール、ホームページ、SNSの優先順位
日々の業務に加えてホームページの編集、SNS運用、Googleビジネスプロフィールの運用まで加わって大変というお声も聞きますが、観光客がお店の情報を得る流れを考えると、Googleビジネスプロフィールの活用は一番重要度が高いと言えます。
消費行動のモデルにはAIDMA、AISASなど様々なものがありますが、ローカル検索で観光客がお店を探すと考えた場合、行きたい旅行先(例 いわき)、行きたい特定のお店や施設(例 スパリゾートハワイアンズ)が決まった後に、「いわきで観光するなら、他にどこに行こうか?」「お昼はどこで食べようか?」「お土産を買うならどこで何を買おうか?」などとローカル検索するわけです。
「いわき 観光スポット」「いわき お土産」「いわき ランチ」など、こうした検索を行っている状況においては、特定のお店や施設の名前を知っていないとたどり着けないホームページ、お店や施設の名前を知っていて、かつファンになっているからこそフォローするSNSをいきなり参照する可能性は低く、代わりに参考にするのが、Googleマップをはじめとするウェブマップサービスに登録されている、お店や施設の情報となります。
「Googleマップ、Googleビジネスプロフィールを利活用することが、実は事業者の皆さんにとっては、場合によってはホームページの更新やSNSの運用よりも大事であるとも言えるんです。」とお伝えするわけですが、ここで「なるほどそうか!」となっていただける方、「それはわかったけど手間がね〜」となってしまう事業者がいるわけですが、残念ながら後者の方を振り向かせるのは難しいです。
こういった場合、Googleビジネスプロフィールの活用に積極的に取り組まれた事業者が、取り組み開始後にGoogle検索/Googleマップからの閲覧者数が増加した、反応数が増加した、お店を表す検索語句の数が増加した、検索数が増加した、クチコミが増えたなど、Googleビジネスプロフィールから得られたポジティブな変化を具体的な導入事例としてDMOや観光協会から伝えていただくことが重要です。
なお、これらの取り組みを通じて、お店や施設の利用者数が増えたこと、売上が増加したこと、問い合わせが増加したなど、事業者自身が感じられる変化を、他の事業者向けに具体的な事例として事業者自身に語っていただくこともまた重要になります。
日本においては特に地方の事業者を中心にデジタルアレルギーが未だにあると感じることが多いですが、確かに手間は増えるものの、それ以上のメリットがGoogleマップ、Googleビジネスプロフィールに取り組むことで得られると事業者に理解いただくことが何よりも重要です。
私も微力ながら、今後も地方の飲食店、小売店、ホテル、旅館など観光事業者が、Googleマップ、Googleビジネスプロフィールを活用して、観光消費額を増大出来るように努めていきたいと思います。